レポート公開!
    日本市場における輸入水産物の
    偽装表示リスク

    big-fish

     

    本日、IUU漁業対策フォーラムのメンバーである株式会社シーフードレガシーが国際NGOオセアナ、北里大学海洋生命科学部吉永龍起准教授と共同で行った、国内水産市場の偽装表示に関する調査結果に関するレポートが発表されました。今回のブログでは、本レポート「日本市場が晒される輸入水産品リスクー輸入及び国産水産物におけるトレーサビリティ導入を考えるー」より、調査結果と日本の水産サプライチェーンに潜むリスクについてハイライトいたします。

     

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    日本市場が晒される輸入水産品リスク −輸入及び国産水産物におけるトレーサビリティ導入を考える−

     

    輸入水産物に関するリスク

    日本はEU及び米国に次ぐ世界第三の水産物輸入市場であり、消費の約半分を輸入品に頼っています。いま世界の水産物輸入市場は、原料水産物の不足に食品流通のグローバル化によるサプライチェーンの複雑化が加わり、IUU漁業、奴隷労働、偽装表示など、輸入水産物が内包する多岐にわたる深刻なリスクに日々晒されています。欧米では輸入規制やトレーサビリティ制度の導入・普及により、これらのリスクを市場から排除する取り組みが進んでおり、これらの市場への行き場を失ったIUU漁業由来の水産物が、トレーサビリティ制度がない国(日本)にしわ寄せとして流入してくるリスクが広がっています。

    日本の水産市場の実態調査

    今回、2017年9月〜2018年4月にかけて日本各地で行われた調査*により、日本国内市場における水産物の偽装表示の傾向が明らかになりました。スーパーマーケット、百貨店、回転寿司屋、居酒屋、レストランなどで販売されていた水産品を対象にDNA検査の結果とラベルやメニュー表示の比較を行った結果、各地に点在するホテル内にあるレストランで購入した9点のサンプルにて、偽装表示が発覚しました。

    調査地域:北海道、青森県、宮城県、新潟県、埼玉県、東京都、千葉県、神奈川県、愛知県、奈良県、大阪府、兵庫県、京都府、広島県、福岡県、鹿児島県

    ホテル内のレストランで見つかったこの9点の偽装表示はいずれも、「舌平目」とメニューに記載されている水産物が、実際には東南アジアで養殖されているナマズ目パンガシウス科の「カイヤン」でした。

    ホテルの飲食店で「舌平目」と表示された水産品は計18点あり、このうち偽装表示が確認されたのは9点で、割合は50%となる。
    サンプリングを実施したホテル内の飲食店は計48店あり、このうち偽装表示が確認された店舗は9店で、割合は約19%となる。

    今回の調査では、ホテル以外の飲食店でサンプリングした水産品や、スーパーマーケットや百貨店などの小売店でサンプリングした水産品からは、偽装表示は確認されませんでした。(*調査内容詳細に関してはレポートを参照ください。)

    原因は制度不備、トレーサビリティの構築が改善の鍵

    今回の調査からは、特定形態の飲食店における特定種の偽装表示という組織的かつ故意的なものとも見える偽装表示が、国内の水産市場で全国規模で行われているという実態が、明らかになりました。問題は、サプライチェーン上のどこかで安価な輸入水産物と高価な国産水産物のすり替えが密かに行われている実態であり、それを容認している体制にあります。日本の水産市場が被る被害やリスクを最小限におさえ、水産業成長産業化のポテンシャルを最大限に高めるためには、全ての輸入品を対象とした水産物トレーサビリティの導入と、トレーサビリティがないものを国内市場に入れない輸入規制が不可欠です。

    日本政府に求められる制度整備

    IUU漁業や奴隷労働などに紐づく輸入水産物が持つリスクから日本の水産市場を守り、水産業を成長産業化していくためには、リスクを市場から排除し、国内生産及び市場をクリーンに保つ取り組みが欠かせません。そのためには全ての輸入品を対象とした水産物トレーサビリティの導入、IUU漁業に関与した水産物を国内市場に入れないための輸入規制の導入、国内生産の水産品におけるトレーサビリティの導入、事業者への十分なサポートの提供と、問題を市場から排除する十分な罰則の規定が必要です。

    本日公開になったレポートでは、日本の水産市場に潜むリスクの詳細、そしてこうした問題の改善策となるトレーサビリティについて、さらには対策の進む欧米市場の取り組みを詳しく紹介しています。是非ご一読ください。

     

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    日本市場が晒される輸入水産品リスク −輸入及び国産水産物におけるトレーサビリティ導入を考える−