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東京サステナブルシーフードシンポジウム2017〜ホールBハイライト前編 〜

午後は二つのホールで分科会が行われました(ホールAの記事はこちら)。こちらのブログでは「ホールB」で行われた3つのトークセッションより、注目のGSSIのセッションについてレポートします。

 

「水産エコ認証乱立時代を進むグローバル戦略とローカルソリューション」

水産エコ認証が乱立している昨今の状況に対し、シーフードレガシーの花岡和佳男のファシリテーションで、3人のパネリストがそれぞれの立場から「国際的な基準を、どのようにローカルにソリューションを持っていけるか」について、意見を述べ合いました。

まず一人目のパネリストはGlobal Sustainable Seafood Initiative (GSSI)のプログラムディレクター、ハーマン・ヴィッセ氏です(GSSIについての記事はこちら) 。ヴィッセ氏は、「地球規模での人口増とシーフードに対する需要の高まりに伴い、責任ある資源管理をすることの重要性も高まっている。20年前にMSCが誕生し、現在では増え続ける認証の数についての議論ができるまでになった」とした上で、認証の乱立により市場や消費者の判断に混乱をきたしていること、また認証プログラムが多数存在することにより、市場にコスト面でも負担がかかっている現状を指摘。しかしながら、国や地域により魚種、漁法、管理方法、さらには規制も異なるため、一つの認証プログラムが全ての漁業に対応することは難しく、地域に適した認証プログラムの必要性についても説明しました。その上でGSSI設立の経緯にはマーケットからの「より多くの人にサステナブルシーフードを提供するために、認証プログラムにより水産物の持続可能性を担保した上で費用対効果を向上させたい」という要望があったと話しました。現在では、FAOの指針をベースに、透明性の高い認証機関を定め、推奨しています。既にMSCはじめ4つのプログラムが審査プロセスを終え、GSSIの認定を受けています。

 

Global Sustainable Seafood Initiative (GSSI)プログラムディレクター、ハーマン・ヴィッセ氏

 

また日本国内でもニッスイに続きイオンがGSSIとのパートナーシップを発表しました。「企業が認証を求めることは認証取得のサポートにもなる」とし、2020年が大きなモメンタムになることへの期待も触れました。「日本国内で2020年の調達基準として採用されることが決まっているMEL(マリン・エコラベル・ジャパン)がGSSI認証されれば、恒久的でポジティブな変化を提供できる」とし、官民も関与しながら共通理解を深めていくことが重要であると締めくくりました。

続いて、GSSIの新たなファンディングパートナーとなったイオンリテールから、グループ商品戦略部・山本泰幸氏が登壇。「イオンがMSC製品を扱いはじめてちょうど10年。取り扱いは現在20魚種、40品目でまだ少ない。サステナブルな調達基準にみあった製品の取り扱いをスピーディに増やしていく必要を感じている。また次の世代に食文化を継続していくという使命をもっている意思表示でもある」と、GSSI参加の背景について紹介しました。また、基調講演でも紹介されたとおり、イオンは今年のアワオーシャン会合でも2020年に向けて20%をMSC認証にするなど、世界に対して意思表明をしています。こういった活動の背景には、シーフードの世界的な需要の高まりに伴う、海外小売業の動きに対する危機感がありました。例えばオリンピックの公式スポンサーでもある中国のIT企業アリババは小売実店舗を次々に買収。あわせて2020年に向けたサステナブル調達方針を発表しています。このままでは、2020年以降に自社のサステナブル調達が困難になる可能性を見越し、スピーディに持続可能な調達に切り替える必要がありました。その対応のひとつとして、「水産物持続可能な利用推進委員会」の立ち上げを行ったことを紹介しました。

 

中央:イオンリテールグループ商品戦略部、山本泰幸氏

 

続いて学習院大学 法学部 教授・ミドルベリー国際大学院モントレー校 客員研究員の阪口功氏は、認証制度の国際基準と、日本国内の課題について触れました。このエコラベル乱立時代においても、「MSC認証のついた製品はイオンと生協以外で見たことがない」「認証制度に興味がない漁業者がまだ多い。消費者も気にしない。だから普及しない」という状況ではあるものの、オリンピックを機にその状況は変わりつつあるとしました。

 

学習院大学 法学部 教授・ミドルベリー国際大学院モントレー校 客員研究員、阪口功氏

 

一方で、「国内の小売業者の前に立ちはだかる挑戦のひとつに、国際基準にのっとった認証をうけた国産の製品が少ないことが挙げられる。国内独自の認証にまで範囲を広げれば、取り扱える国産製品の数は増えるが、FAOの基準に準拠していないケースが多い。例えば第三者機関によって認証されていないもの、過去に認証をとったがその後資源低位のまま、回復の努力もしていないものも含まれている。」と指摘。「国内の認証全てが問題というわけではない。ただ、信頼できるものとできないものが混ざっている現状は、何を選ぶべきかという企業側の判断を難しくしている。日本の認証制度がFAOに準拠してマーケットに信頼される存在になるべき」としたうえで、「MELは制度改革に力を入れていてGSSIの審査を受ける予定と聞いている。現在ネックとなっている外部審査機関をおくことで、状況は変わると思う」と期待を延べました。「海外市場で例外的に強い日本の水産品は、MSC認証を受けている北海道のホタテ。海外で国内よりも遥かに高く売れるので潤っている。海外の大手スーパーなどでは、国際基準に準拠していない独自認証は相手にされないのが現状。小売業、漁業者、養殖者の将来にとっても、国際競争力を高め、マーケットを成熟させていく努力が非常に重要」であると語りました。

ホールが満席となった本セッション。日本のマーケットのGSSIや水産エコラベルに対する関心の高さが伺えました。次回は引き続きホールBで行われた2つのセッションについてお伝えいたします。

 

 

 

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