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東京サステナブルシーフードシンポジウム2017〜総括・レセプション〜

朝から熱いセッションの数々が開催されたシンポジウムもいよいよ大詰め。シンポジウム報告ブログ最終回は、統括セッション、そして美味しいサステナブルシーフードを囲んでのレセプションの模様をレポートします。

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基調講演

トークセッション

分科会ホールAハイライト

分科会ホールBハイライト前編

分科会ホールBハイライト後編

 

統括セッション「SDGs達成を目指し東京オリンピック・レガシーを作る」

長い長い1日、外は日がすっかり暮れていますが、会場にはまだまだ大勢の方たちが残り、ステージに真剣な眼差しを向けています。日経エコロジーの藤田氏、そしてシーフードレガシーの花岡がファシリテーターをつとめ、最後のセッションを盛り上げました。

 

左:シーフードレガシー代表 花岡、右:日経エコロジー/日経BP環境経営フォーラム、生物多様性プロデューサー 藤田 香氏

 

まず今年のテーマ「オリンピックレガシー」にふさわしく、北京・ロンドン五輪バドミントン日本代表の池田信太郎氏に、オリンピックの選手村での食事や、東京オリンピック・パラリンピックの飲食戦略検討委員としてのお立場から、貴重なお話を伺いました。オリンピアンにとって選手村での食事はコンディション作りに欠かせない大切なもの。特にこれから試合を控えているときは、どんな栄養を摂取してコントロールしていくか、が選手にとって最大の関心事です。そして残念ながら試合に負けてしまった選手にとって、選手村は気持ちを切り替えてその国や文化を楽しむための重要な場所となります。だからこそ、選手村で提供する食事を通じてどのように食の文化を伝えるか、またこれを契機にどのようにレガシーを作っていくか、ということも議論されているそうです。しかしながら、池田氏も水産物に限らず、飲食戦略検討委員会で話し合われる農産物のグローバルGAP基準や調達コードの存在について選手時代は全く知らなかったそう。オリンピックを契機に、アスリートの意識がそちらに向くよう食堂での情報発信やブランディングにも目を向けて行きたい、と力強い言葉を頂きました。

 

北京・ロンドン五輪バドミントン日本代表、池田 信太郎 氏

 

続いて国連環境計画金融イニシアチブ特別顧問、末吉竹二郎氏から、投資家はこの日本の状況をどうみているか、という大変興味深いお話を頂きました。末吉氏は今回の東京オリンピックの誘致の際、投資家として環境の視点からIOCに対してプレゼンテーションを行った立役者のお一人でもあります。昭和39年の東京オリンピックでは、アベベが甲州街道を走る姿を直接ご覧になったという末吉氏、その長いキャリアを通じ、投資家の目からみても「パリ協定とSDGs。この2本の柱で世界が大きく変わろうとしている」ことを実感していると切り出しました。「お金に色はないというが、投資の世界では色をつける動きが始まっている。これまではブラウン、ブラックマネー。これからはグリーンマネー。グリーンなことをしようとする人に投資をしよう、そうでない人には投資をしない、というダイベストメント(投資引き上げ)によって世界を変えなければ。企業も変革を要求されている」とのこと。「地球の生命維持装置」としての海の環境保全も例外ではなく、水産資源の他にも肥料、窒素、リンの大量蓄積、温暖化など、地球全体で解決しなければいけない問題は山積みです。新しい変革に資金を流し、問題解決に向かわせる動きを加速されなければ、と語りました。

 

国連環境計画金融イニシアチブ特別顧問、末吉 竹二郎 氏

 

そして「私もこれが2度めの東京オリンピック」と笑うマリン・エコラベル・ジャパン協議会会長、垣添直也氏。水産庁時代を通じ、サプライチェーンや水産の変化を約50年間見つめてきたお立場から、2回めのオリンピックを目の前にして大きな変化を実感しているといいます。1回目のオリンピックのときは、日本にはまだ未開の漁場や資源がありました。しかし2回目の今は環境をどう保全していくか、そこにどう価値を与えていくか、を考えねばならない時代です。誕生からまだ1年ほどのMELは、水産エコラベルとしては後発です。MELが世の中の役にたっていくには、国際的に認知されるだけでなく、地域社会や文化と響き合い、国民や消費者に支持されるものになるべきだと垣添氏は語ります。またMELを取得した事例として、駿河湾の桜えびを紹介。「日本にはローカルの資源をコントロールしながらやっている例も多い。しっかりやっている漁業を、2020年に世界からくるお客さまにおもてなしの一貫として紹介したい。そのためにGSSI承認をとって、世界で認められるラベルとなりたい」と豊富を語りました。

 

マリン・エコラベル・ジャパン協議会 会長、垣添 直也 氏

 

また午前のトークセッションにもご登壇頂いた西友企業コミュニケーション部VPの和間久美恵氏は、「店舗というメディアを使い、(サステナブル・シーフードの)重要性を伝えていきたいが、認証の魚が並ばないことにはコミュニケーションできない。そのため、まずは店舗にマークのついた魚をもっと並べられるように、FIP・AIPのサポートをしている」と説明。これらは企業イメージアップではなく、ビジネスの成長のためにも必要なことと語りました。

 

西友企業コミュニケーション部VP、和間 久美恵 氏

 

同じく午前のトークセッションにご登壇頂いた水産研究・教育機構理事長の宮原正典氏は、「世界が電子媒体化に対応しつつある中、日本のデータは未だに紙が主流。言い訳は抜きで、データの提供に協力してほしい」「漁業を成長産業化するためには大きな政策変更が求められる。これまでの日本の資源管理は『これ以上資源を下げると回復しないかもしれない』というリミットを守るだけの緩い管理だった。しかし規制をもっとしっかりすれば、サステナブルに漁獲しながら資源を増やすことができる」と、改めて、科学的な資源評価や、関係者全てによるコミットメントの重要性を強調しました。

 

国立研究開発法人 水産研究・教育機構 理事長、農林水産省 顧問、宮原 正典 氏

 

こういった発言を受けて、末吉氏は「世界で新しいルールを作ろうというとき、日本はまず日本には当てはまらない、関係ない、ノーと言う。しかし結局最後はイエス。この『No, but Yes』をやっていては今後世界で生きていけない」と鋭く続けました。「日本は食べ物の大半を海外に依存しており、世界なしで日本はやっていけない。日本をより豊かでいい国にするには、世界の中でどうやっていくかが根本。地域ごとにある歴史、文化、伝統、価値観は尊重していい。世界の問題をローカルの視点でみつつ、ローカルでやることはグローバル視点に合うことをする、というグローカル(Glocal)がキーワード。日本特殊論を世界の価値観とどう接点を見つけるか」が重要といいます。また、「世界のルールは政府や国民だけでなく、ビジネスが主導する姿勢が非常に大事」とも強調しました。「例えば世界最大の小売業であるWalmartや、アメリカで最大の水産物購入者であるマクドナルドが『こういうルールに外れる魚を買わない』と決めれば、政府が言わなくても世の中は大きく変わる。日本のビジネスも、世界が受け入れざるをないルールを作るくらいの競争心を持って欲しい」との発言に会場は深く頷いていました。

長い1日の熱い議論の締めくくりにふさわしく、非常に重みのある、また日本が向かうべき方向をはっきり示した充実した統括セッションのご登壇者に、会場からは特に大きな拍手が送られました。

ウォルトンファミリー財団のテレサ・イッシュ氏からの閉会挨拶では、イッシュ氏がシンポジウム直前に受け取ったという、Walmart前会長で、財団のボードメンバーであるRob Walton氏からのメールを紹介。「サステナブル・シーフードに対する活動開始から15年。日本でもこの活動が認識され、日本でも強いリーダーシップが生まれるようになったことを嬉しく思う」。そしてイッシュ氏からの「日本には世界最大の消費国として、引き続き管理を強化し、前進して欲しい」という言葉で全プログラムは締めくくられ、冷めやらない会場の熱気と余韻は、レセプションに引き継がれました。

 

ウォルトンファミリー財団 テレサ・イッシュ 氏

 

そのレセプションの目玉は、なんといっても日本初のサステナブル・シーフードレストラン、BLUE監修のシーフードメニューの数々。BLUEの松井オーナーは11月よりシーフードレガシーの一員としても活動しており、自身の経験から企業へサステナブルシーフード導入のサポートを行っています。大勢の方にご参加頂き、情報交換やサステナブル・シーフード談義に花を咲かせながらの和やかなレセプション。美味しくてサステナブルな料理のお皿は次々に空になっていきます。こんな素晴らしいシーフード料理をこれからもずっと楽しんでいけるよう、私たちシーフードレガシーもますます頑張って活動していきたいと、皆さんの笑顔を拝見しながら新たに心に誓う1日となりました。ご来場頂いた皆さま、本当にありがとうございました。

 

 

オリンピックまであと3年。これからもシーフードレガシーは、サステナブルなシーフードをずっと楽しむことができるよう、活動を続けて参ります。

 

 

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