IUU漁業に歯止めをかける!
    各国の取り組みを検証!~輸出国編~

    hanae.matsui

     

    世界各国のIUU(違法・無報告・無規制)漁業に対する取り組みを特集するブログシリーズ最終回は、EUやアメリカの厳しい規制への対応に追われる輸出国をクローズアップします。

    2010年に施行されたEUのIUU漁業規制。この規制の影響を受けた多くの国は発展途上の国々です。これらの国にとって水産物の輸出は重要な輸出産業であり、EUから「非協力的第3カ国」とみなされることは海外からの信用を失うこと、最悪の場合EUへの輸出が禁じられることとなり、経済へのダメージは計り知れません。2017年現在、EUによりイエローカードに指定されている国は9カ国、輸出禁止を意味するレッドカードの国はカンボジアのみとなっています(詳しくはこちらをご参照ください。)このように警告を受けた国はどのような対応にでたのでしょうか?

    第一回 EU編

    第二回 アメリカ編

    ベリーズ

    2012年11月イエローカード→2013年11月レッドカード→2014年12月グリーンカード(除名)

    旗国として自国の漁船の管理が機能しておらず、国際的な義務を守れていないとして2012年にイエローカードを受けました。国の船籍登録は民営化されており、悪質な事業者が厳しい管理を避けるためにベリーズを旗国として使用していたことがEUの調査で明らかになりました。政府による対応が遅れ、2013年11月にEUへの輸出禁止を意味するレッドカードが与えられました。これを重く受けた政府は船籍登録を再度国有化し、IUU漁業に携わった漁船を取り除き、より厳格な規則を制定しました。結果、2014年12月に違法漁業国リストから除名されEUへの輸出が再開しています。

    ガーナ

    2013年11月イエローカード→2015年10月グリーンカード(除名)

    年間1億2,800万ユーロ相当の水産物をEUへ輸出していたガーナは2013年にIUU漁業の抑制を怠っているとみなされ、イエローカードが与えられました。以降2年間、EU委員会の協力のもと強固な漁業管理計画を採用し法的枠組みの強化に取り組みました。また輸出される水産物のトレーサビリティー向上を目的とした委員会を立ち上げたことも評価され、2015年にグリーンカードとなりました。

    タイ

    2015年4月〜イエローカード

    世界第三の水産輸出国であるタイは長年、IUU漁業のみならず人権問題についても欧米からの指摘を受けてきました。EUとタイはこれらの問題を改善するために2011年より断続的に協議を行ってきましたが、タイ政府の対応が不十分とみなされ、2015年にイエローカードとなりました。これを受け、タイ政府は28の港に厳重なチェック体制を設け、およそ25,500隻でバックグラウンドチェックを行い、漁業者には漁船の登録を求めるなど対策に乗り出しました。また違法漁業対策司令センターを設け、使用漁具の登録やVMSの搭載を義務付ける新規制を策定しました。

    タイのIUU漁業対策は行政だけでなく、輸入国のステークホルダーも多く関わっています。2014年、世界中の大手小売、卸業者、NGOなどが一体となり「Seafood Task Force」を結成、タイの水産サプライチェーンからIUU漁業や奴隷問題に関与した水産物を廃絶するための活動を始めました。この業界主導の活動ではトレーサビリティーの強化やFIPなどを通して、タイからの持続可能で安心安全な供給を確保することを目的としています。

    政府、業界の努力により改善が見られるタイの漁業ですが、現時点ではイエローカードのままとなっています。

    韓国

    2013年11月イエローカード→2015年4月グリーンカード(除名)

    西アフリカ沖での洋上転載への加担や漁船を追跡するための機材の搭載を義務付けていない、などIUU漁業の規制に非協力的として韓国は2013年11月にイエローカードとなりました。これを受け、2014年にはIUU漁業に関する法律を強化、VMSの搭載義務、監視センターの設置、ログブックの電子化など漁船の情報を24時間モニタリングできる体制を整えました。また洋上転載やIUU漁業が懸念されていた西アフリカ沖のでの遠洋漁業に関しては漁業に関するライセンスが民間化されている国との取引を中止するなど、透明性の確保に取り組みました。この取り組みが評価され、2015年4月には違法漁業国予備軍のリストから除名されました。

    台湾

    2015年10月イエローカード〜

    違法なマグロ漁やフカヒレの輸送を摘発され、イエローカードとなった台湾。EUと台湾は2012年より断続的な協議の場を設けたにもかからわず、IUU漁業の規制に非協力的とみなされてしまいました。これを受け、台湾は罰則を設けるなど規制の強化を行います。この新しい基準は2017年の1月から施行されており、台湾漁船の約80%に当たるすべての遠洋漁業船にVMSの搭載義務が課され、海上での動きを24時間監視するシステムを作りました。2017年3月にはフィリピンのEEZ圏内で違法な漁をしたとして台湾籍の漁船が摘発され罰金が課されるなど、IUU漁業に対する国としての厳しい姿勢を示し、違法漁業国予備軍からの除名を目指しています。

    世界中で水産物の需要が高まる中、IUU漁業や水産物を取り巻く人権問題に対する関心は高まりつつあります。水産物の持続可能で安心安全な供給は民間の活動とそれをバックアップする行政の規制が噛み合ってこそ成り立つものです。輸入大国であるEUのやアメリカがリードをとり規制を策定し、その規制の影響を受ける輸出国や業界がNGOなどの専門機関の力を借り、バランスを取りながら対応していくことがIUU漁業撲滅への近道かもしれません。

     

    出典:

    The EU IUU Regulation Building on success EU progress in the global fight against illegal fishing
    The EU yellow card is a wake-up call before trade sanctions
    THAILAND’S PROGRESS IN COMBATING IUU FISHING
    FIRST TAIWANESE FISHING BOAT FINED BY NEW FISHERIES ACT
    EU red card threat moves Taiwan to act on fleet’s illegal fishing
    EU removes South Korea from list of those failing to combat pirate fishing

     

     

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