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シリーズ:チャンピオンに聞くサステナブル・シーフード普及への道 JCCU編 – 後編

シリーズ:チャンピオンに聞くサステナブル・シーフード普及への道 JCCU編 – 後編

 

第1回ジャパン・サステナブルシーフード・アワードのコラボレーション部門の初代チャンピオンに輝いた「インドネシア・スラウェシ島 エビ養殖業改善プロジェクト」に取り組んでいる日本生協連の第一商品本部・本部長スタッフ(サステナビリティ戦略担当)の松本 哲氏にアワードに応募したきっかけとプロジェクトの今後についてお伺いします。(前編を読む

 

サステナブル・シーフードのムーブメントを盛り上げたい

 

花岡: プロジェクトが進んでいく中で去年応募しようと思われたのはなぜですか?

 

松本:

 

ムーブメント自体を盛り上げていきたいということもありますし、審査員の方々に対しても生協の取り組みの今の到達状況をご報告できることもよいのではないかと思いました。

 

花岡: チャンピオンになって周囲で変化はありましたか?

 

松本: お取引先からも祝辞をいただきましたが、日本生協連の取り組みが社会的な評価を得られた機会になったことは非常にありがたいと思っています。また、様々な形でこのプロジェクトやエシカル消費の取組みに関わっている職員にとっても、評価されたことはよかったと思います。

日本生協連は、これまでも環境やSDGsの取組みで表彰を受けることはありましたが、水産部門としての受賞は初めてでしたので、とても前向きに受け止めています。私にとっても、仕事がやりやすくなったと感じています。

 

花岡: そうなんですね。このプロジェクト以外にも沢山の取り組みをされていますが、消費者意識の変化を感じる部分はありますか?

 

松本:

 

認証商品が積極的に選ばれるといったところまではいっていないというのが率直なところですね。売場の水産商品の多くが認証されているイギリスやドイツなどとはまだ違うでしょうが、認知がすすむには時間がかかるだろうと思っています。日本生協連の組合員モニターアンケートによると、MSC認証のロゴを見たことがある、買ったことがあるという組合員の数はこの3年で倍ぐらいになっています。認証商品の利用を一つのきっかけとして興味関心を持っていただければよいですね。プロジェクトについても、日本生協連だけでなく会員生協の広報紙やカタログで紹介しています。

2017年から毎年、「コープのエシカル」という冊子を生協役職員・組合員向けに作成していますが、2020年版では、プロジェクトの紹介と昨年度の商品の利用からの寄付(協力金)が900万円近くになったことを紹介しています。

 

花岡: すごい額ですね、寄付金だけでこれだけ集まったんですね。

 

松本:

 

そうですね、寄付金対象のブラックタイガーの商品が年間300万点弱くらい利用されていることになりますね。

 

 

コロナ禍でも歩みを止めない

花岡: このプロジェクトはこの後どう展開していくのでしょうか?

 

松本: プロジェクト期間は来年6月までですので、対象のASC認証の取得に向けて進捗と課題の確認をしていきます。プロジェクトに取り組むことで、産地の雇用関係や土地の権利などでの課題があることもわかりました。今は、コロナウィルス感染拡大の影響で活動に制約があり、当初の想定通りの進捗にはなっていません。また、今期のプロジェクト終了後については、今回の教訓、経験を生かしながら、プロジェクトを拡大していく方向で検討を進めています。

 

花岡:

 

コロナ禍によって宅配サービスに対する社会的需要が高まり御会も大きく貢献されています。一方でコロナ禍は色々な問題を生み出し、どの組織も優先課題の選択が迫られています。御会の場合はSDGsの取り組みはこれから尚更大事だと思って優先順位を上げていくのか、あるいはそれどころではないと落としていくのか、どのようなお考えでいるのでしょうか。

 

松本:

 

まだ、コロナ禍中にありますが、日本生協連は2018年に「コープSDGs行動宣言」を第68回通常総会で採択し、今年の総会では「日本の生協の2030年ビジョンを採択しています。その流れに沿ってそ「日本生協連SDGs取り組み中期方針2020-22」を定め、実行計画も作成いていますので、しっかり取り組んでいくことは変わりません。

その実施計画においても、「インドネシア・スラウェシ島エビ養殖業改善プロジェクト」は位置づけられています。同時にこれらの課題においては、会員生協とともに生協組合員(消費者)とのコミュニケーションを丁寧にすすめていくことが大事だと考えています。

 

花岡:

 

課題を自分ごととして解決を目指す、そのためにマルチステークホルダーとのコミュニケーションを大切にする、という姿勢があるからこそ、一番最初にインドネシアの生産者が動いた、今回のことは大事だと思ってWWFインドネシアに相談したというステップが進んだんだろうなとお話を伺ってて思いました。

 

松本: BOMAR社は、プロジェクトの話が出る以前ですが、来日して生協組合員の集まりで話をしたり、試食会をしたことが何度かありました。生協は、そういった産地と消費者とのつながりを大切にする、商品を非常に大事にすると感じていただいたのではないでしょうか。そのような経過があって、日本生協連からASC認証にチャレンジしませんかと提起をした時に受け止めていただけたのではないかと思っています。

 

花岡:

 

グローバルサプライチェーンの長さや不透明さや脆さ、また、そもそも経済と環境、消費行動と自然資本の歯車が噛み合っていないことによる根本的な問題が、コロナ禍においてますます顕在化してきています。その中で御会のアプローチは、これらの問題解決の糸口になっていくのだろうと思います。

 

松本: これからの社会の変化について考えると、商品調達への関り方により深みが求められるのだろうと思います。全体としてどのように改善して、サステナビリティの方向に進んでいくのかをきちんと考えていかないと、事業を継続していくことが難しくなるかもしれません。

 

花岡: 最後に、これからアワードに応募される方に対してアドバイスやメッセージをお願いします。

 

松本:

 

今回の受賞で評価いただいた点は、いろいろな形でステークホルダーを巻き込んだ取組みであることだと思います。NGOのWWFと協働しながら、原料のブラックタイガーを調達し商品を製造するBOMAR社、商品を輸入し会員生協に供給する日本生協連、消費者である生協組合員に商品を販売する各地の生協、商品を利用する生協組合員(消費者)がそれぞれの関り方でプロジェクトを支えています。

一つの事業者ができることは限られたことですので、できる限りいろいろな形でステークホルダーと協力して取り組みを広げていく、あるいはより深く一緒に追求できるところを考えていくというのがこれからも大事ではないかと思います。このプロジェクトだけでなく、ステークホルダーとの協働や、消費者とのコミュニケーションを大切にしていきたいですね。

 

花岡: 松本さん、有難うございました!

 


今年のアワードの応募締切は8月19日(水)まで!みなさまのご応募をお待ちしております。