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シンポジウム2016総括レポートー4 企業間連携と技術開発で支えるサステナブルシーフード

シンポジウム2016総括レポートー4 企業間連携と技術開発で支えるサステナブルシーフード

 

2016年11月11日にシーフードレガシーが日経エコロジーと共に開催したサステナブル・シーフード・マーケット・シンポジウム「魚から考える日本の挑戦2016 —東京五輪を機に作り上げる持続可能な調達と食の未来—」。午後最後のパネルディスカッションでは近年注目されている新しいビジネスの形、「プレコンペティティブ・コラボレーション」について、そして技術面からサステナブルシーフードに携わる日本のスペシャリスト達にご登壇いただきました。

サステナビリティーの確保と同業他社を巻き込む秘訣

午後3つ目のセッション、会場Aでは「競争から企業連携へ。サステナビリティ確保のためサプライチェーンの同業他社を巻き込む秘訣」と題したパネルディスカッションが展開されました。国際NGO Ocean Outcomes (O2)のジャパンプログラムディレクター村上春二氏のファシリテイトのもと、米国の小売・流通企業約1500社が加盟する業界団体FMI(Food Marketing Institute)で競合企業連携を実現させた米NGO FishWiseの取締役ジーニー・ヴォン・ザストロー氏、北米の主要水産企業9社が加盟する米SeaPactの代表取締役ロブ・ジョンソン氏、アルゼンチンのCeDePesca常務取締役エルネスト・ゴーデルマン氏により、流通や水産業界の競合他社が「共有資源の持続性の確保」という共通目標を達成するためのプラットフォーム作りの重要性をご紹介頂きました。

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Sea Pact 代表取締役 ロブジョンソン氏

「サプライチェーンに関わる企業の中には既に仕組みを熟知したエキスパートがいます。彼らが集まることで、問題発見、解決に繋がります。」

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フィッシュワイズ 取締役 ジーニー・ヴォン・ザストロー 氏

「持続可能な水産物の供給といった小売企業にとって重要、かつ緊急性を要する問題に直面した時、ライバル企業同士が積極的に協力し、マーケットを動かすような大きなムーブメントが生まれたのです。」

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セデペスカ 事務局長 エルネスト・ゴーデルマン 氏

「1社、1漁業団体だけでは力が足りない。ポリシーやマネージメントにも影響を与えるには、企業間の協力が欠かせない。」

更に、生産者のサステナビリティ追求への取り組みを支援するシステムの構築にまつわる具体的手法や、そこに専門NGOが入ることの重要性をご紹介いただきました。これらの成功事例は今後日本で持続可能な漁業を実現していくためのヒントになることでしょう。

研究と技術開発でサステナブル・シーフードの新市場を生み出す

 会場Bで同時間帯に並行して開催したもう一つのパネルディスカッション「研究と技術開発でサステナブル・シーフードの新市場を生み出す」では、日経エコロジー/日経BP環境経営フォーラムの生物多様性プロデューサーである藤田香氏によるファシリテーションのもと、カツオの回遊動向調査を続ける味の素のグローバルコミュニケーション部PR・CSRシニアマネージャーである長谷川泰伸氏、ベトナムでマグロ漁のサステナビリティを追求するヤンマーのエンジン事業本部企画部事業企画部主観技師である伊澤あらた氏、問題性の多い東南アジアでのエビ養殖事業から撤退し国内での陸上養殖を手がける日本水産執行役員の前橋知之氏、日本で初めて牡蠣のASC認証を取得した宮城県漁業協同組合の後藤清広氏により、国内企業が水産資源枯渇問題をどのように捉え、どのような取り組みを展開されているかをご紹介いただきました。根本的解決には各社による企業努力だけでは足りず、行政による資源管理や貿易規制の適正化が急務であることがハイライトされました。震災後に葛藤を経て、未来に資源を残す漁業の道を選んだ南三陸町の後藤さんの言葉も胸に響きました。

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国内の水産資源管理や貿易規制が先進的な漁業国及び水産市場圏に遅れをとり、日本の水産関連ビジネスや地域社会の未来には懸念が広がっています。しかし日本でも、いや、どこよりも海と密接に関わってきた日本だからこそ、この問題を解決することができると、私たちシーフードレガシーは信じています。海洋環境における社会的課題はますます複雑化・多様化し、行政の主導に頼るだけでは解決への道筋は見えません。だからこそ、企業とNGOがパートナーシップを結び、問題解決に向けて共に動き出すこと、そして、独立性が担保され、科学知見と予防原則に基づいた水産資源の管理強化の需要を作り出す機運が、今後ますます高まることが期待されます。シーフードレガシーは引き続き、プレコンペティティブ・コラボレーション(非競争連系)の構築を軸に、日本におけるマーケット・イニシアチブの発展に力を入れて参ります

ご参加頂きました皆様、そして関係者の皆様、長い1日となりましたが、ご参加頂き誠にありがとうございました。

当シンポジウムのレポートや映像は、準備が出来次第、公開させていただきます。

プログラムや登壇者のプロフィールはこちらのサイトからご覧いただけます。