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サステナブルはビジネスチャンス?年商115億ドルのサステナブルシーフード業界

サステナブルはビジネスチャンス?年商115億ドルのサステナブルシーフード業界

 

右肩下がりの日本の水産業とは裏腹に世界では、水産業が急成長していることはご存知でしょうか。違法漁業や過剰漁業、そして気候変動による不漁など水産業界を取り巻く問題は日本だけではなく、世界中で問題視されています。そのような問題と直面しつつも、水産業が成長している背景には「管理をしながら適正量を漁獲する」システムにあります。

サステナブルシーフードという付加価値

日本ではまだまだ馴染みの薄いサステナブルシーフード。しかし、世界では年商1.2兆円の売上(小売)を誇る巨大マーケットに成長しています。そして更に注目すべき点は、市場の成長スピード。右肩下がりの日本の水産業をよそに、通常の水産業の約10倍のスピードで大きくなっているというのには驚きです。10年前には世界の漁獲高の1%にも満たなかったサステナブルシーフードが今では約14%とまで言われています。

急成長中の水産物の代名詞とも言えるサーモン。

急成長中の水産物の代名詞とも言えるサーモン。

この急成長の背後には大手企業の参入があります。私達に馴染みのあるマクドナルドもヨーロッパやアメリカでは100%MSC認証の水産物を使用しています。また大手小売も「〇〇年までに〇〇%の水産物をサステナブルシーフードに切り替える」と次々に発表をし、サプライチェーンの見直しなどに取り組んでいます。もはや欧米市場ではサステナブルシーフードはスタンダードとして定着しつつあるようです。

アメリカ、ヨーロッパの小売企業トップの取り組みについてはこちらで紹介しています。

ヨーロッパやアメリカで急速に広がりを見せるサステナブルシーフードですが、認知度は予想より低いのが印象的。あるアンケート調査によるとサステナブルシーフードの認証エコラベルの認知度は33%と市場の広がりに比較して低いことがわかりました。しかし認知度が低い=意識がない、というわけではないようです。水産業における奴隷問題やマグロの減少などがニュースで大きく取り上げられ、消費者も個人の消費に対して責任感を感じるようになってきています。エコラベルのついた商品を積極的に探して買うことはしなくとも、意識した時に安心して食べられる商品が購入できる選択肢があることが日本と欧州の大きな差でしょう。サステナブルシーフードの価値とは将来も魚を食べ続けられることのできる保証と、個人の消費の安心感にあるのではないでしょうか。スーパーを中心とした小売業界が消費者にこうした選択肢を提供し続けることが今後サステナブルシーフードの認知度向上にもつながっていくことでしょう。

食の安全は自分で守る

水産物の多くを輸入(特にアジア)に頼るヨーロッパやアメリカでは、発展途上国の水産業に金銭的な支援も積極的に行っています。現地で直接漁師の教育や漁法の改善に取り組むのは主にNGOですが、小売企業はこうした活動に資金を提供することで、自社の持続可能な水産物の供給を長期に渡り保つことのできるシステムを構築し始めています。また同業者が協力し合うことでサプライチェーンの見直しや改善もより効率的に行うことが可能となりました。

正しく評価されるべき魚の価値

かつては魚屋さんに並ぶ旬の魚を旬の時期に楽しむのが主流でした。しかし、運搬技術や冷凍技術の発達、そして大型量販店やチェーン店での流通が主流になった今、日本の水産業ではコンシューマーアップ、つまり、目安となる販売価格が先に決まってしまっているのが現状です。値段に合わせるために大量に漁獲せざるをえない、という過剰漁業の負のサイクルに一旦陥ると資源に大きなダメージを与えてしまいます。そもそも、魚は自然に増えるもの。そのペースを超えないように徹底した管理をしながら、漁獲することが重要です。不漁で値段が高騰する、などよくニュースになりますが、まずは私達一人一人が正しく水産物の価値を理解することが大切なのです。

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築地に並ぶ鮮魚

日本ではまだまだエコラベル付の商品は値段が高い、というイメージが強いですが、世界の水産業の直面する問題を考え私達一人一人に選ぶ権利と責任がある、ということに気づくことができれば魚本来の価値が見えてくるかもしれません。どこでどのように取られたのか分からない安い魚と、環境に配慮して漁獲されていることが担保されている魚、多少の値段の差は未来への保証と安心のためと考えてもいいかもしれません。