未来の海が豊かな生態系を育み続け、次世代社会がその恩恵を受け続けることができるように、海の生物の育成に必要な環境を保護し、再生産のペースを守りながら漁獲・養殖された水産物を、サステナブル・シーフードと言います。自然資源の持続的な再生産を基礎に据えることで、私達は地域社会、水産経済、海洋生態系のつながりを、豊かな状態で次世代に遺すことが可能となります。
- 混獲
- 漁業の際に目的外の魚や他の生物を漁獲及び捕獲してしまうこと。魚に限らず、サメやウミガメ、そしてイルカなどの大型哺乳類や海鳥などが誤って網にかかってしまう事例が多く報告されている。認証取得においてこうした混獲に関する対応も審査要素に含まれており、必要に応じて漁具の改善などを行う必要がある。
- 資源管理指針
- 国や各都道府県が、今後の資源管理のあり方の基本方針として、それぞれに管理する漁業に関連する水産資源に関する管理方針及びこれを踏まえた魚種又は漁業種類ごとの具体的管理方策(休漁や漁獲量制限、網目の拡大等)を策定したもの。
- 資源管理計画
- 指針に基づき関係漁業者が魚種又は漁業種類ごとに、自主的に行う資源管理措置を内容として作成するもので、国や都道府県が策定する資源管理指針に沿って作成することになっている。管理計画に含まれる要素は、計画対象魚種・漁業種類の現状、対象海域、資源管理措置(休漁や漁獲量制限、網目の拡大など)、取組期間など。現在全国に1800を超える資源管理計画が存在する。
- 漁場改善計画
- 漁場の環境を改善し、良好な状態に維持・管理することが、持続可能な養殖業につながるとの認識の下、漁業者自らが考え、行動するための基本計画。「持続的養殖生産確保法」により、協同組合等が作成した「漁場改善計画」を都道府県知事が認定できる制度となっており、認定を受けることで計画内容の適正さが確保される。
- 総漁獲可能量(TAC)
- 水産資源の保護管理のため、ある海域の魚種別の漁獲可能量を科学的に測定し、それによって漁獲総量を規制するもの(Total Allowable Catch)。
- 生物学的許容漁獲量(ABC)
- 特定の資源において、持続的に漁獲をしていくにあたり生物学的に最も推奨できる漁獲量(Acceptable Biological Catch)。
- オリンピック方式
- 漁獲可能量を個々の漁業者等に割り当てることなく自由競争の中で漁業者の漁獲を認め、漁獲量の合計が上限に達した時点で操業を停止させることによって漁獲可能量の管理を行うもの。
- 個別(IQ)方式
- 漁獲可能量を漁業者又は漁船ごとに割り当て、割当量を超える漁獲を禁止することによって漁獲量の管理を行うもの(Individual Quota)。
- 譲渡性個別割当(ITQ)方式
- 漁業者又は漁船ごとの割当量に譲渡性を付与し、ある漁業者が自分に割り当てられた割当量の全量を消化する見込みがない場合等には、割当量を他の漁業者に譲渡することができるようにしたもの(Individual Transferable Quota)。
- 最大持続生産量(MSY)
- その資源にとっての現状の生物学的・非生物学的環境条件のもとで持続的に達成できる最大(あるいは高水準)の漁獲量(Maximum Sustainable Yield)。
- 地域漁業管理機関(RFMO)
- ある一定の広がりをもつ水域の中で、漁業管理をするための条約に基づいて設置される国際機関(Regional Fisheries Management Organization)。カツオ・マグロ類の地域漁業管理機関としては大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)、インド洋まぐろ類委員会(IOTC)のほか、中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)、全米熱帯まぐろ類委員会(IATTC)等がある。
- 船舶監視システム(VMS)
- 衛星船位測定送信機を用い漁船の追跡を行う(Vessel Monitoring System)。国により規定は異なるが日本の場合、漁業の種類により搭載が義務付けられている。
- 系群
- 資源の変動単位。遺伝的に他の生物集団と区別できる集団、あるいは遺伝的に区別できなくとも、産卵期、産卵場、分布、回遊、成長、成熟、生残など、独自の生物学的特徴を有する場合が多い。
- 絶滅危惧種
- レッドリスト内の「絶滅のおそれのある野生生物」の中で特に絶滅の危機が高いとされる、3つのカテゴリーの中でもっとも危機的状況にある生物(Critically Endangered)のこと。追って準絶滅危惧種(Endangered)、危急種(Vulnerable)となる。
- 漁獲証明書
- 水産物に関する数量や漁法、海域、時期、漁船名などを記入し、漁獲から移送、出荷までの生産・流通の流れについて輸出国の政府が確認したことを示す書類。漁業者が各国で認可された業者かどうかも証明できる。2010年に施行されたEUのIUU漁業規制により、EU圏内への輸出には魚獲証明書の提出が義務付けられることとなった。
- 知事許可漁業
- 農林水産大臣が管理しない漁業であっても、各都道府県が必要と認めた漁業種類について各都道府県知事が許可を与え操業する漁業のこと。
- 大臣許可漁業
- 漁船の隻数を一定程度に制限する必要がある漁業について、農林水産大臣より許可を得て操業している漁業のこと。
- 漁業権漁業
- 都道府県知事が漁場の区域、対象魚種、漁法等を特定し漁業協同組合等に漁業権を免許する漁業のこと。
- 人工集魚装置(FAD)
- 洋上に浮かべることで魚の群れを集める漁具。まき網漁と組み合わされて使用されるなど、混獲、乱獲を助長することから規制される動きもある。
- スマート漁業
- ICT等の先端技術の開発・導入や、資源調査・評価の取組等で得られたデータのフル活用を通じて、適切な資源評価・管理や生産性の向上を目指す漁業の取り組み。
- 漁獲努力量
- 漁獲のために投入された努力量、漁船数、操業日数、漁具数、曳網時間、定置網の設置ヶ統数など漁労行為の量
- 単位努力量当たりの漁獲量(CPUE)
- 魚を獲るためにどれだけの漁獲努力を費やしたかといった指標(Catch Per Unit Effort)。標準化を行って資源量指数として使用されることが多い。
- 再生産関係
- 親魚量と加入尾数の関係。加入尾数は一般に平均値のまわりで大きく変動する。
- 神戸プロット(神戸チャート)
- 資源状態、年ごとの資源量の軌跡、または両方を示す4象限のグラフ。横軸に資源量、縦軸に漁獲(死亡)係数をとる。一般的に軸はそれぞれMSY水準を境に分かれており、資源が望ましい水準を下回っているか(overfished)、乱獲状態にあるか(overfishing)を図で示すことができる。
- 目標管理基準値(TRP)
- 漁業において達成および維持されるべき目標を示す基準(Target Reference Point)。
- 限界管理基準値(LRP)
- 好ましくない資源状態を定義する指標の基準値(Limit Reference Point)。基本的に、MSYの60%をとる親魚量が使用される。LRPを下回った場合は、回復措置を直ちにとる必要がある。
- 漁獲管理ルール(HCR)
- 選択した資源状態の指標に基づいて資源をどのように管理するかを記述した、事前に合意されたるルール(Harvest Control Rule)。
- 予防的アプローチ
- 情報が十分ではない場合でも意思決定により資源へのリスクが最小限に抑えられるように、意思決定におけるリスクを低減を考慮するように求める管理哲学
- 管理戦略評価(MSE)
- 徹底的なシミュレーションによって、不確実性のもとでうまく管理目標を達成できるような管理戦略(漁獲方針)を選択するプロセスのこと(Management Strategy Evaluation)。
- 漁獲戦略
- 特定の管理目標を達成するために設計された、漁獲管理における意思決定(漁獲量の決定など)を行うための、事前に合意された枠組み(Harvest Strategy)。一般的にはモニタリングプログラム、資源評価方法、管理基準値、および漁獲管理ルールで構成される。
Seafood Legacy Resource
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