ニッスイ 協働事例 

社外有識者との対話を重視するニッスイ。
シーフードレガシーの見識がサステナビリティ活動の向上に

企業がサステナビリティを追求していくうえで重要なのは、事業活動で直面する課題に一つひとつ向き合い、解決していくこと。大手水産会社であるニッスイは、こうした考えのもと、課題解決に向けた手段の一つとして「ステークホルダーダイアログ」を実施し、社外有識者の意見を取り入れながら、サステナビリティ活動を行っています。

そのステークホルダーダイアログに、シーフードレガシーの取締役副社長であり、漁業における持続可能性について豊富な見識をもつ山内愛子も参加しています。山内の意見がニッスイグループでどのように生かされたのか、株式会社ニッスイのサステナビリティ推進部 担当部長の森井茂夫(もりい しげお)さんにお話いただきました。

株式会社ニッスイ

サステナビリティ推進部 担当部長  
森井 茂夫さん

ポイント
  • シーフードレガシーの取締役副社長が「ステークホルダーダイアログ」に参画。意見をきっかけに、課題解決に向けた動きが加速

有識者と意見を交わす「ステークホルダーダイアログ」を年に一度開催

ーーニッスイグループでは、2016年より、有識者を招いて「ステークホルダーダイアログ」を開催されています。開催目的と、概要を教えていただけますか?

ニッスイでは、水産資源のサステナビリティの追求、環境負荷の低減などを目的に、さまざまな取り組みを展開しています。取り組みの例として、取引した天然魚の実績をもとにした資源調査、ASC認証やMSC認証などの取得、これらの水産エコラベルを表示した水産物の活用が挙げられます。

ただ以前は、こうしたサステナビリティに特化した活動の意義や考え方が、なかなか社内に浸透しないという状況がありました。この状況を変えようと議論を重ねた末に生まれた結論の一つが、「サステナビリティについて社内で共通認識をもつために必要なのは、社外からの意見」というものでした。

サステナビリティを追求する必要性や、そのために求められる具体的な取り組みについて、社内でいくら論じても、自社の都合が優先されがちです。そこで、水産物やサステナビリティに精通している社外有識者の意見が加われば、社内に影響をもたらすのではないか、という結論にいたったのです。また、これとは別に、ニッスイの取り組み内容を有識者の方々にチェックしてもらい、その客観性をさらに高めたいという考えもありました。

こうして2016年に、第一回目となる「ステークホルダーダイアログ」を開催。当時、世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)に所属していた山内愛子さんをはじめとする有識者の方々より、世界の水産加工業における傾向をご教示いただいたほか、ニッスイの取り組みについて、ご意見をいただきました。

日本企業の実情を踏まえたアドバイスが資源調査の質をさらに向上

ーー2021年開催の「ステークホルダーダイアログ」に、山内はシーフードレガシーの取締役副社長として参加しました。山内からは、どのような意見が出ましたか?

まず、資源調査のやり方を変更した点を評価していただきました。2017年に第一回目の資源調査を行った時は、「FAO(国連食糧農業機関)」が推奨する評価法と、漁業資源の回復などを目指して活動する非営利団体、Sustainable Fisheries Partnership(SFP)が公開している「FishSource(※1)」を活用し、社内で完結させるかたちで分析と評価を行いました。

しかし、2020年に行った第二回目の資源調査では、第一回目から大きくやり方を変え、SFPと共同で分析・評価を実施。ニッスイが取引した天然魚に関するデータを社内で集め、そのデータをSFPに分析・評価してもらうという方法を取り入れました。一連の変更の背景には、第三者の視点や思考を取り入れることで、資源調査の信頼性を高めたいという考えがありました。


2021年開催の「ステークホルダーダイアログ」では、2020年に行った資源調査も議論の対象となり、山内さんからは「資源調査に第三者の視点を取り入れるのは、有効な方法。また、“第三者”にSFPを選んだのは、非常に良い選択だったのでは」とのご意見をいただきました。この時、ニッスイが行っている漁業が生態系に与えるインパクトについても、SFPから意見をもらうよう勧めていただきました。こちらの意見も、今後の調査に反映する方向で進めています。
ーー現状の改善に役立つような意見はありましたか?

ニッスイが、MSC漁業認証規格に頼りすぎている可能性を指摘されました。「漁業の評価については、MSC漁業認証規格に限らず、『FIP(漁業改善プロジェクト)』も取り入れ、資源調査を支援するなどを含めて考えたほうがいいのでは」といった意見を頂戴しました。たしかにMSC漁業認証規格のみを基準にしている限り、評価しきれない天然資源があります。その点は社内でも問題視されており、山内さんの指摘によって、この問題を解決する必要性が社内で明確に認識されました。

検討が必要と認識される天然資源の中には、現在、国内外の大学と共同研究するかたちで調査を行っているものもあります。この調査結果は、各場面で反映する予定です。なお、山内さんからは別途、「2021年に発足した、持続可能な水産物の普及を目的とした国際的なラウンドテーブル『Global Roundtable on Marine Ingredients』への参画も、評価しきれない天然資源をなくす解決策になり得ます」と助言をいただいていたので、2022年より参画しています。

「ステークホルダーダイアログ」を通じて実感しているのは、外部の有識者の意見は、企業を良い方向に導くうえで大きく役立つということ。また、山内さんのように日本の企業が抱える事情をよく理解されている方の意見は、社内でも受け入れられやすく、具体的な取り組みに反映しやすいと感じています。

 

国内外の最先端情報収集の場の提供、ステークホルダーとのよりよいコミュニケーションアドバイスに期待

ーー最後に、今後シーフードレガシーに期待することを教えてください。
シーフードレガシーさんは、2015年より「東京サステナブルシーフード・サミット」を開催されています。今年(2023年)のTSSSの内容は特に人権に関連するセッションがあり、海外からの登壇者も多く、社内、取引先含め、貴重な情報収集の場になりました。水産業におけるさまざまなステークホルダーが集い、議論する場はとても重要なので、今後もぜひ、このような場を設けていただきたいと思います。

また最近は、投資家を含め、さまざまなステークホルダーからご質問、ご意見をいただくようになりました。こうした期待にどう応えていくべきかをご相談する先として今後もお願いできればと思います。
ーーーー今日はありがとうございました。これからも引き続き、サステナブル・シーフードの推進をご一緒できればと思います。

 

第2回ニッスイグループ取り扱い水産物の資源状態調査(2019年)詳細はこちら

 

(※1)SFPが2007年に開設した国際的な資源評価データベース。各国行政機関の水産資源情報等をもとに開発された。
 

 

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