水産物業界の共通点は水産物
漁業者から加工者まで、大手バイヤーから消費者まで、水産物のサプライチェーンは多くの異なるプレーヤーから成り立っていますが、それぞれが水産物の価値や本質に関して独自の視点を持っています。
またこの多様なプレーヤー達は、お互いやサプライチェーン全体に対する理解が不足しています。最近、全く異なる2つの水産物関連のイベントに連続で関わりましたが、この経験を通じてこの点が明確になりました。 最初のイベントは、オレゴン州アストリアで開催されたフィッシャーポエッツ・ギャザリングで、これはストーリーや音楽、散文を通じた商業漁業の民族祭です。2つ目は、マサチューセッツ州ボストンで開かれた、北米最大の水産物見本市であるフード・エクスポ・アメリカです。私はここで世界の水産物サプライチェーンの幅広い範囲や領域について、目が覚めるような体験をすることができました。
商業漁業者として、アストリアは非常に居心地がよく、海で生計を立てているたくましくも素朴な人々の間に簡単に溶け込むことができました。しかしボストンでは、身なりの良い水産業界のビジネスマン達の間で部外者のような気持ちになりました。彼らの多くはおそらく荒波の中での漁具の手入れや船の係留作業には苦労したのかもしれません。この2つのイベントの共通点は何だったのしょうか?おそらくそれは唯一水産物だけでした。
水産物のサプライチェーンは複雑かつ不透明で、時には締め出されることもあります。右手は必ずしも左手が何をしているか分かっているわけではありません。このサプライチェーンの分断が与える悪影響は大きく、重大で複雑な漁業の課題に取り組むうえで相当な障壁になりかねません。自らのサプライチェーンを完全に理解していない漁業者は、末端の消費者や環境または資源のために最善の行動をとることを期待できません。また、漁業の現場の現実を十分に理解していないバイヤーや他の水産物関連組織は、現実的な改革を効果的に実施することが難しくなります。
漁業者を含む水産物サプライチェーンの全プレーヤーが資源の活用および管理に参加できる枠組みを作ることが、漁業を改善できる唯一の策です。多くの場合、解決策を持っているのは、問題に最も近い人、毎日その状況に対処している人、最も情報量の多い人、そして良い結果に常に関心がある人です。そのため私たちはロシアや中国、および日本においては現場で商業漁業者や現地の利害関係者と関わっているのです。