Brussels Seafood Expo 2018 レポート
4月24日~4月26日、世界有数の美食の都ベルギーブリュッセルにて行われた世界最大級の水産専門見本市シーフードエキスポへ参加してきました。今回は代表花岡、アメリカ在住スタッフ松井花衣に加えて、初めての参加になる松井大輔が行って参りましたので、初参戦の目線からレポートいたします!
圧巻の規模感と盛り上がり
第26回を迎える今回のシーフードエキスポは78カ国、1946社の水産関連会社が参加し昨年より87社増加したようです。毎年のように増えていることから、業界全体が世界的に成長している様子が分かります。このエキスポはブリュッセルで一番大きなビジネスイベントで、街中や駅でポスターを見かけたり街全体が盛り上がっていました。
また、39,322平方メートル以上の面積からなる会場は、1日歩き回ると約25,000歩(約15キロ!)も歩いており、会場全体を見て回るだけでも相当な時間と労力がかかります。
会場には世界各国の水産関係者が勢揃い
サステナブルとブランディング
日本ではよく質問される「サステナブルって付加価値になるんですか?」この質問の答えをまさに会場自体が表現していました。歩く度に目にするMSC/ASC認証、BAP認証、GAP認証、パートナーNGOなどのロゴ。多くの企業がそれらを持ってして、持続可能な取り組みを前面に打ち出していました。その打ち出し方もデザインの時点からクリエイティブの一部としてしっかりと構成されている様子も見受けられて、ブランディングとして持続可能性のメッセージが確立していることを目の当たりにしました。なかには様々なPOPを作成している業者もおり、サンプルとしてMSC認証ラベルのPOPが標準的に置いてあり、サステナブルシーフードの需要が違う業界にまでビジネスの波を広げていることが確認できました。
MSC認証ラベルのPOP
タイのパビリオンにも「サステナブル」の表記が
表記するだけでなくデザインの一部とされたMSC認証ラベル
シーフード・エクセレンス・グローバル・アワード・コンペティション
シーフード・エクセレンス・グローバル・アワード・コンペティションとは、異なるカテゴリーのシーフード製品を表彰する毎年恒例のイベントです。会場はお酒や軽食が振舞われ受賞者が発表されるごとに大きな歓声が湧き上がっておりました。今回Best Retail Product、Best Hotel/Restaurant/Catering (HORECA) Product、Innovation、Convenience、Health and Nutrition、Retail Packaging、Seafood Product Lineの7つの賞が発表され、その中の2商品がMSC認証ラベル付きでした。ファイナリストに残るのも難しいようで、受賞すると販売する時にかなり有効なPRツールとなるようです。シーフードを使用した日本の冷凍・冷蔵食品は世界でも高く評価されています。いつかサステナブルシーフードを使用した日本の製品が受賞できることを、心から期待します!
ITとマシーンの展示
シーフードエキスポの隣でシーフードプロセシングという主に製造・加工の業者が集まるイベントも開催されていました。今回の目的ではなかったのですが、広い会場を歩いているうちに右も左もわからず迷いこんだので、少しだけお伝えいたします。
一番目を引いたのはVRを活用した展示。実際の工場内をVRを活用して歩いたりでき、最新の技術の凄さを体感しました。魚は、種類や加工工程が複雑で工場内でのトレーサビリティを確立することが難しいと言われておりますが、そのことが実際の工場に行かなくても改めて体感できました。また、水産業というと日本では漁師や港のイメージが多いですが、ここでは最新技術や各国の英智が結集しており、潮の香りなどしないスーツを着たビジネスマンが商談をしている姿を見ると、水産のイベントに来たことをふと忘れてしまいそうでした。
番外編
夜はなんといっても外せないベルギービール!どのお店に行っても数十種類、多いところだと100種類以上のローカルビールがずらり。カクテルのようなフルーティーなものから、チョコレートやコーヒーのような強いコクのあるビールまで日本で飲めないものもたくさん味わうことができました。
また、有名なムール貝の白ワイン蒸しやエイジングビーフなど美食の街を存分に味わうことができました。
そして街中には「Fresh Sustainable Fish and Chips」という看板を掲げた気になるお店も。
お客さんも多くとても賑わっているお店でした。中に入って、どういった取り組みがサステナブルなの?と店員さんに聞いたところ、「魚を無くさないことさ!」というざっくりとした返答。。。
実際の調達で認証された物を使用したりしている様子ではなさそうでした。おそらくブランディングの一環=サステナブルシーフードを求めたお客さんをターゲットにしているという目的で表示しているようです。
このことから、サステナブル=付加価値といった意識が浸透しているということがわかりましたが、蓋を開けてみると本質的な部分の取り組みはしていないところもあるという現状も同時に分かりました。また、サーモンのフィッシュ&チップスを頼んだのに食べてみると白身魚。。。店員さんに言うと、「値段は同じだから気にしないで!」と。日本と海外の魚の種に対するこだわりの差を体感する出来事でした。日本では、魚を美味しく大切に食べる文化が根付いています。美味しさとサステナブルが両立する素晴らしい魚食文化へと更に発展するよう頑張ろう!とギアを入れ直すことができた有意義な視察となりました。
ムール貝の白ワイン蒸し
サーモンを注文したのに出てきたのはタラ。。。