【WBAが調査結果発表】世界的大手水産企業30社、いまだに、環境、社会面の影響に関する透明性が欠如-Seafood Stewardship Index

2023.10.18

2018年に設立されたワールド・ベンチマーキング・アライアンス(World Benchmark Alinance、以下WBA)は、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に説明責任のある、世界で最も影響力のある2,000社を評価する非営利組織です。弊社も、アライアンスメンバーの一員として参画しています。この度、WBAが世界の大手水産企業30社を持続可能性に関する観点から評価した調査「Seafood Stewardship Index」を公表しましたのでお知らせいたします。

 

<以下、WBAから出されたプレスリリース(シーフードレガシー仮訳)>

  • ワールド・ベンチマーキング・アライアンスが、世界の水産業界で最も影響力のある30社を評価したところ、持続可能性に関する取り組みの進捗が依然として透明性に欠けていることがわかりました。
     
  • 多くの企業は持続可能な、もしくは持続可能性を担保するための改善をはかっている途中の水産物調達を進めているものの、2021年以降、持続可能な水産物の取り扱いを増やした企業は3分の1未満でした。

2023年10月17日、アムステルダム - ワールド・ベンチマーキング・アライアンス(WBA)は、水産業界で最も影響力を持つ30社に関する新しい調査結果「シーフード・サステイナビリティ・インデックス」第3版を公開しました。調査対象となった30社にはTrident、三菱、Thai Union、Bolton、Cargillをはじめとする主要な漁業・養殖企業や水産ブランド、水産加工業者、養殖飼料会社が含まれ、総収益は業界の収益の約四分の一を占めます。
 

世界の6億人が生計の一部またはすべてを漁業や養殖業に依存しています。また、水産物は世界で生産される動物性タンパク質の17%を占めています。


世界中で多くの人々が、雇用や食料、健康を水産業に依存しているにもかかわらず、大手企業は、海の保護や回復にもつながる、持続可能で公平な食料システムを実現できていません。
 

水産物は海洋の生物多様性に最も影響を及ぼすものであり、カーボンフットプリントの少ない動物性タンパク質の選択肢でもあるが、持続可能な水産物の管理は、海を保護し、健全性を回復させなくてはいけません。


自給自足の労働者や第二次産業の従事者も含め、約6億人が漁業や養殖業に生計の一部またはすべてを依存しています。また、水産業は30億人以上に栄養豊富でカーボンフットプリントの少ないタンパク質を提供しており、彼らの食生活において、天然魚や養殖魚は欠かせない存在となっています。

今回の調査はWBAが2019年に「シーフード・サステナビリティ・インデックス」を初めて公表して以来、3回目の評価となる。人権デューデリジェンス(HRDD)における軽微な改善、持続可能な水産物のシェアを増やす企業、水産物のトレーサビリティをGDST基準に合わせる取り組みは確認されたものの、平均して進展は遅く、いまだ不十分です。  

 

水産業界は、より健全な海の生態系を築くために透明性を向上させる必要があります。

 

今回の調査では、水産企業は信頼性のある目標を設定し、その進捗を透明性をもって報告する必要があることがわかりました。評価対象となった企業のうち、環境、トレーサビリティ、社会問題すべてにおいて信頼性のある目標を設定していた企業はわずか16%でした。さらに、全ての水産物を環境的に持続可能な資源から調達するという意欲的な目標を持ち、その目標に向けた進捗を報告している企業は全体の4分の1以下でした。

 

違法・無規制・無報告(IUU)漁業は乱獲や環境の劣化を加速させています。それに加えて、特に発展途上国の漁業者や沿岸のコミュニティの暮らしをも脅かしています。世界の漁獲量の約20%がIUU漁業からのものと推定されていますが、評価対象の企業の中で自社のオペレーションやサプライチェーンのIUUリスクを評価しているのは3社のみで、その評価結果を公表している企業は一社もありませんでした。

 

 

WBAのネイチャー・トランスフォーメーション・リーダー、ヘレン・パッカーは次のように述べています。

 

企業の最優先事項は、自らのリスクと影響を評価することです。現在、多くの企業は自社の影響を十分に理解していないようです。しかし、その影響を理解することは、より公正で持続可能な未来への適切な行動を決定する上で欠かせません。企業は水産製品が合法に漁獲され、倫理的に生産され、環境的に持続可能であることを保証するため、漁船から食卓まで水産物の流れを遡及する能力、つまりトレーサビリティを向上させるべきです。

ますます多くの企業がトレーサビリティへの取り組みを公言しています。これらの取り組みが実質的な意味を持つためには、企業はそれらがどのように実行されているかをより透明にしなければなりません。現在は、調査対象企業の3分の1以下の企業しかトレーサビリティ・システムに関する情報を公開しておらず、世界的に認知されるトレーサビリティ基準の実施に積極的に努めているのはわずか4社だけでした。

私たちは4年間、世界の水産業界を評価してきました。ある進展の進展はあったものの、まだ十分な取り組みはなされていません。水産業界はさらに迅速な行動を起こす必要があり、ステークホルダーは企業に説明責任を求めるべきです。

 

水産業界は、人権侵害や労働権侵害のリスクの高いセクター

調査対象企業の3分の1が人権デューデリジェンス(人権DD)の導入を開始しており、これは2021年と比べて3.5倍の数だ。ししかし、多くの企業はHRDDの実施において進展を見せていません。
 

水産業は、海上の漁船で孤立しやすい労働者、また、立場の弱い移民労働者に依存するため人権や労働権の侵害のリスクが高く、これらのリスクへの取り組みの第一歩として、企業は人権DDを導入することが不可欠です。2021年に比べ、HRDDの実施を開始した企業は30社中、7社増え、合計で9社となったのは良い傾向ですが、大多数の企業はまだHRDDの実施に踏み切っていません。
 

水産業界が、持続可能で公平な未来をつくるための一役を担うためには、大手企業は誰一人取り残さないよう、人々を転換の中心に位置づけることが急務です。


Seafood Stewardship Indexの詳細は、こちらでご確認いただけます

 

<問い合わせ>
Emily Cooper/エミリー・クーパー(英語対応のみ)
メール: emily@forster.co.uk
電話 +44 0203 833 4774

 

ワールド・ベンチマーキング・アライアンスについて

  • 2018年に設立されたワールド・ベンチマーキング・アライアンスは、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に説明責任のある、世界で最も影響力のある2,000社を評価する非営利組織。
  • 企業のパフォーマンスに関するベンチマークを無料で公開し、良い企業の慣行がどのようであるべきかを示している。
  • ベンチマークは、企業が環境、社会、経済をより持続可能かつレジリエントな道へ進むために、どのようなコミットメントや変革をすべきかについて、明確なロードマップを提供している。
  • これらの情報は、政府、金融機関、市民団体、個人を含むすべての関係者が、業界をリードする企業を支援し、遅れている企業に追いつくよう促すための洞察を得る手助けとなっている。
  • これらのベンチマークはまた、業界をリードする企業に対しては継続するよう奨励し、また、対応が遅れている企業には取り組みを進める圧力となるよう政府、金融機関、市民団体、個人を含むすべての関係者にとっての識見を提供している。
 

詳細:www.worldbenchmarkingalliance.org
X(旧twitter): @SDGBenchmarks
URL: www.worldbenchmarkingalliance.org 

 


 

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