
◾️東アジア市場の成長を「再生」のエネルギーへ
私たちが描くのは、東アジアのダイナミックな経済成長が、海の豊かさを損なうのではなく、むしろその「再生」を促すエネルギーとなる未来です。日本市場の変革の最前線で対話と実装を積み重ねてきた知見を携え、私たちは今、共に海の未来を信じ、この壮大な挑戦を加速させるすべてのパートナーと共に、東アジア全域で持続可能な水産経済圏の構築に挑みます。
◾️なぜいま東アジアなのか ― 分断を越えた調和の構築
日本市場で芽生えた変革の種は「理念の掲示」から「自主的努力の促進」、そして「連携による仕組みづくり」という新たなフェーズへと移行しつつあり、確かな実を結び始めています。しかし、海の生態系やサプライチェーンに国境はなく、一国のみの変革では、真に持続可能な食料安全保障を完結させることはできません。
日本以外でも、東アジア各地にはそれぞれの環境に即した様々なイニシアチブがあり、目覚ましい成果を出しています。強大な市場と資本という「原動力」がある東アジアで、これら個別の活動を連携させ、東アジア地域に戦略的なインパクトを生み出していくためには、共通の目的意識(ビジョンや価値基準の統一)や相互運用性、国境を越えた信頼といった「地域全体の構造(アーキテクチャ)」の構築が必要です。
そこで私たちは以下の3つの基軸に基づいて、この歩みを東アジアの多様な主体と共に連携しながら広げます。
「分断」から「調和」への転換
地政学的な分断に揺れる東アジアですが、水産資源の枯渇や不当な労働慣行という共通の脅威を前に、対立に終始することは自滅の道を歩むに等しいでしょう。これらの課題解決にいま必要なのは、東アジアの豊かな魚食文化や水産経済を次世代へ繋ぐための『調和(Harmony)』です。資源を奪い合い社会的リスクを押し付け合う時代に終止符を打ち、地域市民が広く共感できるストーリーを軸とする、共創の論理へと歩みを進めます。
市場のレバレッジを最大化する「東アジアモデル」の構築
東アジアは、過剰漁業や人権侵害という深刻な課題の当事者であると同時に、世界最大規模かつ今後も成長が予測される水産市場として巨大な「購買力」を有しています。主要なステークホルダーの意志の醸成、非競争連携の創生、制度化の実装などを、東アジアの文脈に合わせて(Region-fit)設計することで、この巨大市場を、破壊から再生へと向かわせる原動力へと転換します。
TSSSをアジア全体の「共創のプラットフォーム」へ
干支を一巡し成熟を迎えたサステナブルシーフード・サミット(TSSS)は、今や日本国内の対話の場を超え、東アジア全域の産官学金が共鳴する「共創のプラットフォーム」へと進化しつつあります。東アジアのCSO(市民社会組織)や地域リーダーたちと緊密に連携し、このプラットフォームを拡大することで、東アジアの特性をふまえた解決策を多様なステークホルダーと共に社会実装していくフェーズへと突入します。
◾️共に海の未来を信じ、この壮大な挑戦を加速させるコア・パートナー
QMCS(Quindao Marine Conservation Society)
多様なステークホルダーを通じて課題と解決策を明確化しサステナブルシーフード・ムーブメントを推進する中国のリーディングCSO。漁業・養殖業の環境性能向上、重要海洋生息地の保全、絶滅危惧種の保護を主軸に、持続可能なシーフード消費の普及活動も行う。2025年10月に大阪で開催されたTSSSにてシーフードレガシーと協働MOUを締結(https://seafoodlegacy.com/QMCS_MOU)。
http://www.qmcs.org.cn/
O2(Ocean Outcomes)
台湾と韓国におけるスタッフがおり、プログラムを実施するなど東アジア全域で活動し、高リスクかつ資源不足の漁業を支援している。海で生きる漁業者や船員、地域社会、事業者と共に連携、支援し、海洋生態系、人権を守り、そして生活を守る解決策を促進している2025年10月にハワイ島で開催された「CASS Conference」にてシーフードレガシーと協働MOUを締結(https://seafoodlegacy.com/mou_OceanOutcomes_jpn)。
https://www.oceanoutcomes.org/
HKSSC(Hong Kong Sustainable Seafood Coalition)
香港、マカオ地域の水産物購入者、サプライヤー業界がリードする連盟。責任ある調達、産業間連携、そして政策変更のための政府への働きかけを通じてサステナブルシーフードの主流化、市場の変革をしようとしている。
https://hksustainableseafoodcoalition.org/
DearOcean
韓国・ソウルを拠点とするコンサルティングCSO。アジア太平洋地域において海洋保全、ESG戦略、そして海洋教育をつなぐ役割を担っている。企業が掲げるサステナビリティの取り組みを商業戦略へと転換することを支援しており、責任ある水産物調達やブルーカーボン戦略の位置づけ、韓国市場への参入支援などを行っている。また、教育や文化的ストーリーテリングを通じて、次世代が海により身近に関わる機会を広げている。
https://www.dearoceans.com/
CASS(Conservation Alliance for Seafood Solutions)
北米にてマーケット・トランスフォーメーション時代の寵児となった機関プラットフォーム。2026年3月現在約35カ国・200以上の組織が連携し、2030年までに世界の商業用水産物の75%以上を環境的・社会的に責任ある形にすることを目指している。2025年1月にシーフードレガシー 代表取締役社長の花岡和佳男を理事に迎え、2026年2月に史上初となる東アジアに焦点を当てたプロジェクト「EAX(East Asia Exchange)」を始動。
https://solutionsforseafood.org/
◾️これまでの主な経緯
[2026.04] 日本にとってアジアへの玄関口である博多にて、韓国・台湾・香港・中国のコアパートナーとの合同戦略会議を開催・主導。対話プラットフォーム「CASS EAX #3」を開催し、各地域に最適なマーケットトランスフォーメーション・モデルの策定に向けたネクスト・ステップを発表。
[2026.03] ボストンで開催された世界最大級の水産見本市SENA(Seafood Expo North Asia)において、東アジア各地での取り組みを紹介するパネルセッション「CASS EAX#2」に、QMCS、O2、HKSSC、シーフードレガシーのメンバーが登壇。欧米の市場関係者にアジアにおける最新の改善状況を共有し、グローバルなサプライチェーンからの信頼獲得に向けた連携強化を提案した。
[2026.01] 東アジアのCSOおよび実務者を対象とした継続的な知見共有プラットフォーム「CASS EAX #1」をウェビナー形式でキックオフ。言語や商習慣の壁を超え、水産資源の枯渇や不当な労働慣行という共通の脅威に向き合い、真に持続可能な食料安全保障を完結させる体制構築を開始。
[2025.12] アジアの水産流通の要衝である香港にて、コアパートナーとの合同戦略会議を行い、現地のステークホルダーと直接対話。市場の最前線を視察し、現場努力だけでは解決できない課題に対して、地域連携による対策が必要であることを再確認。
[2025.10] ハワイ島で開催された国際的な環境NGO連合の年次会合「CASS Conference 2025」にて、東アジアにおける独自の連携枠組みを構築するための知見共有プラットフォーム「EAX(East Asia Exchange)」構想を公開。欧米主導の枠組みにアジアの視点を融合させる新時代が幕を開けた。
[2025.10] 大阪・関西万博に合わせて大阪で開催された「TSSS(The Sustainable Seafood Summit)」総括セッションのテーマを東アジア連携に設定。地域内での課題およびベストプラクティスを共有し、課題解決を加速させる連携の在り方について議論。
[2025.09] シンガポールで開催されたアジア全域の市場関係者が集う「SEA(Seafood Expo Asia)」にてパネルディスカッションを開催し、東アジアにおけるマーケットトランスフォーメーションの経済的メリットとリスク管理の重要性を発信。
[2025.04] 韓国・釜山で開催された「OOC(Our Ocean Conference)2025」に合わせ、日韓を中心に世界各地から集ったマルチステークホルダーによるラウンドテーブルを開催。アジアにまたがるサステナブルシーフード・サプライチェーンの構築を構想。
[2025.01] 北米にてマーケット・トランスフォーメーション時代の寵児となった機関プラットフォーム「CASS(Conservation Alliance for Seafood Solutions)」の理事に花岡和佳男が就任。世界標準の策定プロセスにアジアの現場の声を反映させる体制を確立。
https://seafoodlegacy.com/CASS
[2024.10] 東京で開催された第10回「The Sustainable Seafood Summit(TSSS)」にて、日本国内で培ったマーケット・トランスフォーメーションの知見をアジア全域へと拡張するビジョンを表明。「日本の変革」を東アジア地域全体のレガシーへと昇華させるための航海がここから始まった。