『魚から考える日本の挑戦2016』報告レポート

『魚から考える日本の挑戦2016』報告レポート

2016年11月11日、今年もシーフードレガシーは日経エコロジーと協力し、サステナブル・シーフード・マーケット・シンポジウム「魚から考える日本の挑戦2016 – 東京五輪を機に作り上げる持続可能な調達と食の未来 -」を開催しました。サステナブルシーフードの普及が日本でも少しずつ進む中、昨年に続き2回目の開催でなんと500人以上の方にご参加頂きました。雨で足元の悪い中、ご参加頂きました皆様、そして関係者の皆様、長い1日となりましたが、ご参加頂き誠にありがとうございました。


飛躍の1年

昨年は「サステナブルシーフードとはそもそも何か?!」から始まり、水産物消費大国である日本の現状と問題の改善策について議論されました。それから1年・・・、2回目のシンポジウムでは、マーケット・イニシアチブとプレコンペティティブ・コラボレーション(非競争連系)をメインテーマとし、2020東京オリンピック・パラリンピック開催を機にいかに日本でマーケット・ムーブメントを発展させていけるか、そしてどのようにレガシーをデザインしていくのかに焦点を当てました。


雨の中、たくさんの方にお集まりいただきました!ほぼ満席でスタート!


サステナブル・シーフードにおける欧州でのビジネス成功事例、米国での企業間連携、日本でのプロモーション展開、トレーサビリティの確立、技術開発などのテーマで、世界水準の議論がかわされました。更には日本の小売をリードする大手2社から、シンポジウムに合わせて素晴らしいニュースが届けられました。


イオン

適切な漁業管理の元漁獲された魚や、MSC認証、ASC認証を専門的に扱う販売コーナー「フィッシュバトン」の展開を現在の25店舗から2020年までに100店舗に拡大すると発表。また、10月初旬に日本で4番目となるMSC認証を取得した宮城県、明豊漁業の一本釣りのかつおを1000店舗で販売するなど、日本でのMSC認証の認知普及にも大きく貢献しています。シンポジウムのレセプションで提供されたMSC / ASC認証のシーフードはイオン様から協賛いただきました!ありがとうございます。


基調講演ではイオン執行役商品担当柴田英二氏がイオンの提案するサステナブルなライフスタイルについて紹介。


オーガニックやフェアトレードと言った聞き慣れた単語に並んで、MSC/ASC認証が!


イオンの展開するフィッシュバトンのリーダーを務める河岡進氏もパネルディスカッションに参加頂きました!


レセプションに並ぶASC認証のサーモン。


西友

東京湾でスズキ漁を営む海光物産株式会社と国際NGOオーシャン・アウトカムズ(O2)が取り組む、日本初となる漁業改善プロジェクト『東京湾スズキ漁 FIP』に、日本の企業としては初、西友が支援をすることを発表しました。今後はMSC認証予備審査によって特定された課題に取り組んでいくようです。衰退傾向にある日本の水産業にとって、これは明るいニュースです。今後の展開に是非注目!


パネルディスカッションでは「成功ビジネスを生む漁業管理と改善」と題し、日本初のFIPに関わる皆様にお集まりいただきました!


「東京湾スズキ漁FIP」の江戸前スズキが西友の店頭に並ぶ日も近い!?


ロンドンオリンピック・パラリンピックの食料調達コード、「フードビジョン」にMSC認定を含むサステナブルシーフードを導入させたNGO団体、サステインのキャンペーンコーディネーターのルース・ウェストコット氏はトークセッションで「MSC認定やサステナブルシーフードに対して積極的な姿勢を示す企業を『チャンピオン・リーダー』として賞賛し、サポート、応援することでマーケットが追いついてくる」と熱弁。イオンと西友、日本でも最大手の小売がサステナブルシーフードへの一層本格的な参入の意思表示をしたことは、市場にも大きな影響を与えるでしょう。

このシンポジウムは、水産会社、食品メーカー、小売・卸売・商社、情報処理・SI・ソフトウェアなど、日本のビジネスプレーヤーを軸に520名もの参加者が集まった、日本最大規模のサステナブル・シーフード・マーケット・イベントとなりました。昨年の参加者数約350名と比較しても、このイシューに対するマーケットの関心の高さと成長が伺えます。シーフードレガシーはこのシンポジウムを今後も日本におけるサステナブル・シーフード・マーケット・イニシアチブの唯一無二の中核的フォーラムとし続けることを目指し、さらなる規模拡大を目指します。


小池東京都知事も講演!

今年は東京都知事の小池百合子氏にも基調講演として、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを見据えて、東京都の「持続的な水産資源の利用について」お話頂きました。


「持続的な水産資源の利用に向けて」と題し、東京都の取り組みについて講演いただきました。


オリンピック・パラリンピックではサステナブルな都市、東京を世界にアピール!


中でも印象に残ったのが「持続可能性を実現するために都民や国民ひとりひとりが主体となって、言葉だけではなく、数値目標に向かって積極的に関わっていけるムーブメント作りが大切」「大義だけでなく共感を生む活動にしていきたい」とのお言葉。「クールビズ」を定着させ、温暖化問題にも大きく貢献された小池都知事には是非とも「サステナブルシーフード」の普及と定着にも一役買っていただきたいと共に、心強いサポートを感じました!小池都知事の基調講演のビデオは後日お届けいたします。


世界から見た日本のサステナブルシーフード業界

今回のシンポジウムには、海外からも多数のゲストスピーカーにお越しいただきました。中には移動時間に30時間以上かかった方も!滞在時間も短く、過密なスケジュールでしたが、疲れも見せずに登壇して頂いた皆様には感謝です!


【トークセッション】
ロンドン五輪のレガシーが市場に残したもの、東京はどう進むか?


【トレーサビリティが鍵】
サプライチェーン上の労働問題と違法漁業に立ち向かう


【欧州の事業成功事例】
サステナブル調達で利益を上げる欧州の企業事例


【競争から企業連携へ】
サステナビリティ確保のためサプライチェーンの同業他社を巻き込む秘訣


シーフードサステナビリティの追求において日本は主要な欧米市場よりも10〜15年遅れを取っています。しかし会場では海外のゲストスピーカーの方々から「日本のサステナブルシーフード市場の成長スピードは素晴らしい!」とのお言葉を多数頂きました。そして、オリンピックのような大きな国際イベントがあり、「目に見える成果」が得られることも日本のサステナブルシーフード市場を大きく前進させるとても良いきっかけになるだろう、と。

ロンドンオリンピック・パラリンピックでは、フードビジョンが策定されたのは大会開幕のわずか1年前のこと。私たち東京には2020年までまだ十分な時間があります。東京オリンピック・パラリンピックの食材調達コードへの働きかけなど、シーフードレガシーも着々と前進していきます。

シンポジウム後は、水産系メディア、各団体様のホームページやブログにて当日の様子を紹介して頂きました。国内にも同じ目標を持った仲間が多くいることを改めて確認でき、心強いサポートを感じました。皆様、引き続きどうぞよろしくお願いいたします!



【株式会社亀和商店2016.11.12】
Topics − 魚から考える日本の挑戦2016


【みなと新聞2016.11.14】
「小池知事が講演 持続可能性重視の五輪へ 国民への理解喚起強調 」


【MSC日本事務所2016.11.15】
「魚から考える日本の挑戦2016 ~東京五輪を機に作り上げる持続性可能な調達と食の未来~」が開かれました。


【水産経済新聞2016.11.15】
「『魚から考える日本の挑戦2016』関係者500人が参加 小池都知事『共感を呼ぶ活動を』」


【「海のエコラベル」を知っていますか? by MSCアンバサダー浅野陽子2016.11.28】
小池知事も登場、2020年東京オリンピックに向けて・シンポジウム「魚から考える日本の挑戦2016」①
小池知事も登場、2020年東京オリンピックに向けて・シンポジウム「魚から考える日本の挑戦2016」②



次回は、1日を通して行われた各パネルディスカッションの様子をお伝えいたします!

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