シンポジウム2016総括ブログー1 ロンドンオリンピックのレガシーを受け継ぐ

シンポジウム2016総括ブログー1 ロンドンオリンピックのレガシーを受け継ぐ

シンポジウム報告レポートの第2弾からは、シーフードレガシー代表取締役社長、花岡和佳男の視点から、『シーフードレガシーCEO花岡のシンポジウム総括ブログ』シリーズとしてシンポジウムの様子をお伝えいたします!

2016年11月11日にシーフードレガシーが日経エコロジーと共に開催したサステナブル・シーフード・マーケット・シンポジウム「魚から考える日本の挑戦2016 −東京五輪を機に作り上げる持続可能な調達と食の未来—」。ハイライトの一つはやはり、2012ロンドン五輪でサステナブル・シーフード・オリンピックを成功に導いた英MSCのプログラムディレクターであるトビー・ミドルトン氏と、英Sustainのキャンペーンコーディネーターであるルース・ウェストコット氏によるトークセッション「ロンドン五輪のレガシーが市場に残したもの」でした。


ロンドン五輪レガシーが市場に残したもの

ロンドンでは、五輪自体をどうするか、よりもいかに五輪を機にレガシーを築くかに焦点を当てた結果、必然的に高基準な調達方針が策定されました。




「現状下における達成可能性ばかりを重視して基準を下げてしまっては後に何も残らない」





「多くのステイクホルダーが上手く乗って努力することができる高い目標を設定することが、低い目標を100%達成するよりも大切」




「何を本当に残したいかを突き詰めて考えることが必要」




「まずは五輪とその先の成功イメージを明確なものにしていきましょう」


トビー氏とルース氏から放たれる言葉は強く胸に刺さると同時に、東京五輪への希望と可能性を感じるものでした。

ロンドン五輪では、イギリスの国民食であるフィッシュ&チップスをサステナブル・シーフードの象徴と位置付けたそうです。原料となるタラ類、それも国産魚を率先してサステナブルなものにしていくことで、国内漁業が守られ国民に共感が根付いたとのこと。シーフード大国である日本が多く学ぶものがありました。

またロンドンでは、五輪組織委員が積極的に複数の専門NGOに協力を仰ぎ、NGOが五輪スポンサー企業をはじめとするマーケット・イニシアチブを後押ししたことにより、国を挙げてのムーブメント作りの成功しました。そのムーブメントはロンドン五輪から5年が過ぎた今もなお成長を続けており、小売、水産、生産、飲食、流通、食品など多くの企業が率先して「サステナブル調達方針」を策定・発表・実施・強化し、その努力を消費者が評価しています。


東京はこのバトンをいかに受け取るか

ロンドン五輪レガシーの話を受け、大和総研の調査本部主席研究員である河口真理子氏や、日経エコロジー/日経BP環境経営フォーラムの生物多様性プロデューサーである藤田香氏が、SDGsやESG投資なども交えつつ、2020東京五輪のあるべき姿の輪郭を描かれました。続いて、海洋生態系、水産関連ビジネス、地域社会を豊かで持続的な状態で未来世代に継ぐことをミッションとするシーフードレガシーの代表取締役 花岡和佳男が登壇。このシンポジウムのメインテーマであるマーケット・イニシアチブとプレコンペティティブ・コラボレーション(非競争連系)を軸に、日本の未来ビジョンとそこへのステップを語りました。


大和総研調査本部主席研究員 河口真理子氏


日経エコロジー/日経BP環境経営フォーラム生物多様性プロデューサー藤田香氏


2020東京五輪は、衰退産業となってしまっている日本の水産関連業界の現状維持のためではなく、生態系・ビジネス・社会を豊かで持続的な状態で未来世代に残すための機会としたい。どこよりも海と密接に関わってきた日本だからこそ達成できると、私たちシーフードレガシーは信じています。

海洋環境における社会的課題はますます複雑化・多様化し、行政の主導に頼るだけでは解決への道筋は見えません。だからこそ、企業とNGOがパートナーシップを結び、問題解決に向けて共に動き出すこと、そして、独立性が担保され、科学知見と予防原則に基づいた水産資源の管理強化の需要を作り出す機運が、今後ますます高まることが期待されます。2020東京五輪の調達方針が未来世代を中心としたものになることを願い、シーフードレガシーは引き続き、日本におけるマーケット・イニシアチブの発展に力を入れて参ります。

ご参加頂きました皆様、そして関係者の皆様、長い1日となりましたが、ご参加頂き誠にありがとうございました。

当シンポジウムのレポートや映像は、準備が出来次第、公開させていただきます。

プログラムや登壇者のプロフィールはこちらのサイトからご覧いただけます。

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