Alaska Ocean乗船レポート・パート1:世界最大のMSC認証/CoC認証取得漁船の内部を視察!
6月5日~7日の3日間、シアトルで行われた世界最大のサステナブルシーフードカンファレンス、Seafood Summitに参加して来ました。サステナブルシーフードに関する活動を行う団体や企業が世界中から集まり意見交換や成果発表を行うシーフードサミットでは3日間を通して数々のパネルディスカッションの他、レセプションやネットワーキングイベント、フィールドトリップなどイベント盛りだくさん!
今回はサミット前日に行われたMSC認証およびCoC認証を保持する世界最大の漁船、Alaska Oceanのツアーをレポートします!
巨大な甲板。漁の時はここが魚であふれる。
Alaska Oceanとは
MSC認証およびCoC認証を保持する世界最大の漁船Alaska Oceanはその名の通り、アラスカでスケソウダラを中心とした白身魚の漁を行います。約150人の乗組員が働き、1日200トンの魚を漁獲、加工する設備を備えています。1回の航海は約12日間、2100トンの切り身やすり身に加工された魚、450トンの魚粉、そして60,000トンの魚油を港に持ち帰ります。
意外と身近?Alaska Oceanの白身魚
ツアーの中で最も驚いたのがAlaska Oceanを保持するGlacier Fish Companyの取引先は日本人の私たちにとって身近であること。営業・マーケティング担当副社長のナップさんがGlacier Fish Companyの白身魚が使われている商品を実際に用意してくださいました。
圧倒的の多いのが日本の商品!アメリカで生産されたものもありますが、日本からの輸入された商品も多いそう。近所のアジア食品店でこの日のために調達してきてくれました。
思わず目を疑うような、日本人なら知っている商品ばかり!実はAlaska Oceanで加工されるすり身の主要輸出国は日本を中心とするアジア諸国であり、品質向上や管理を目的として日本からの技術者も2名乗船するそうです。ナップさんが紹介してくださった商品はMSC認証を受けた魚を使用したものですが、肝心のMSCのロゴは見当たらず・・・。
MSC認証を受けたの魚の加工や流通、販売を行うにはCoC認証(Chain of Custody)が必要となります。これは認証水産物が適切に管理され、非認証原料の混入やラベルの偽装がないことを認証するためのものであり、CoC認証を取得していない事業体に一度でも所有権が移ると、それ以降、認証製品として取り扱うことができなくなってしまいます。シアトルで日本の食品関連業界のCoC認証取得拡大という課題が露わになることに。
魚のクオリティー自体はMSCの認証基準を満たしている「かくれMSC」、まだまだ日本にはあるかもしれません。
最新の設備で品質を保つ
驚きなのは、船内の加工設備です。漁獲されたスケソウダラはまず1匹ずつ計量が行われます。混獲された魚については1匹ずつ報告書が書かれ、別加工されます。計量後は専用の設備で頭や内蔵が処理され、あっという間に3枚おろしに。フィレは人間の目でダブルチェックが行われ、仕分け、パッキングされます。
切り身の冷凍パッケージ。
すり身も同様、船上で加工され、パッキング、冷凍保存されます。魚が漁獲され、処理、加工、パッキング、冷凍されるまでの時間はなんと約45分!最新技術を駆使したスピード処理で鮮度を保ったまま加工、冷凍保存ができる仕組みになっています。
パッケージされた商品はこの冷凍棚で冷凍され、その後冷凍庫で保管されます。
切り身やすり身にならない骨や内蔵はというと・・・こちらは魚粉や魚油に加工され、廃棄される部位はゼロだそうです。魚に脂がのった時期などは魚油が取れすぎるため、船のエンジンにまわすそう・・・魚油で動く船、驚きです。最新の設備を駆使し、無駄なく高品質な商品を加工するAlaska Oceanですが、なぜサステナブルなのでしょうか。次回は大型漁船がサステナブルに漁業を行うための鍵を紹介します。