Alaska Ocean乗船レポート・パート1:世界最大のMSC認証/CoC認証取得漁船の内部を視察!

Alaska Ocean乗船レポート・パート2:アラスカの漁業はなぜサステナブルなのか?

年に1度行われる世界最大のサステナブルシーフードカンファレンス、シーフードサミットへ参加するため、シアトルへ行ってきました!今回はサミット前日に行われたMSC認証およびCoC認証を持つ世界最大の漁船、Alaska Oceanのツアーレポートパート2は巨大漁船がサステナブルに漁業を行う鍵を探ります!


MSC認証/CoC認証を受けた世界最大の漁船Alaska Ocean乗船レポート!パート1 


資源を守るためのアラスカの漁業管理


Alaska Oceanは主に東ベーリング海で漁を行います。この海域の大きさはカリフォルニア州とほぼ同じサイズです。Alaska Oceanが漁獲するスケソウダラは約35年に渡るデータ収集と科学に基づいた管理が行われており、「責任のある漁業」のモデルケースとも言われています。漁船には科学者が乗船し、漁獲された魚から無作為にサンプリングを行い、魚のサイズや年齢、漁獲海域の情報を収集し翌年の漁獲量の策定を行います。このようなデータは資源の健康度を把握する上でとても重要であり、こうしたデータの蓄積がアラスカの資源管理を支えているのです。

Alaska Ocean乗船レポート・パート2:アラスカの漁業はなぜサステナブルなのか?
実際に船に乗船する科学者がアラスカの資源管理についてのプレゼンをしてくださいました。


また、先の科学者とは別に漁船にはNOAA(アメリカ海洋大気局)のトレーニングを受けた監察者が乗船し、1回の漁獲毎に漁獲海域(経度や緯度を含む)、日時、漁獲量、混獲された魚の数と種類、性別の割合などの情報を収集し、政府に報告する義務が課されています。その他、乗船毎に漁船が安全基準を満たしているかなどの確認を行うなど、監察者の業務は多岐に渡ります。


Alaska Ocean乗船レポート・パート2:アラスカの漁業はなぜサステナブルなのか?
監察の業務内容説明の様子。



Alaska Ocean乗船レポート・パート2:アラスカの漁業はなぜサステナブルなのか?
漁獲レポートには細かい項目が設けられています。


こうした情報を基に設定されたTACは安定しており、スケソウダラを中心としたアラスカの水産資源は持続可能なかたちで利用されています。

それを示すのがアラスカ海域の高いMSC認証取得率です。日本を含む太平洋北西部のMSC認証取得水産物は同エリアの水揚げ量のたった5%なのに対し、対岸のアラスカ近海ではなんと83%を記録しています。つまりアラスカ産の水産物の少なくとも約8割がサステナブルであることになります。


Alaska Ocean乗船レポート・パート2:アラスカの漁業はなぜサステナブルなのか?
MSC Annual Report 2015 – 2016


日本ではクロマグロの漁獲量が守られない、とニュースになりますが、アラスカではこのような問題は発生しません。日本は海域ごとに定められた漁獲上限に向かって「早い者勝ち」システムなのにし対し、アラスカは1隻ごとに上限が定められています。つまり、漁船は他の漁船と争うことなく(もちろんより良い漁場と時期を巡って場所取り争いはあるそうですが・・・)魚の価値がより高くなる旬の時期に安心して漁が行えるのです。この上限を越えてしまった場合、政府より厳しい罰則が課されるため、漁獲された魚は1匹ずつ計量し上限を厳守するとのこと。

ここまで厳格な資源管理があるからこそのMSC認証取得率世界一なのですね。



安心のトレーサビリティ


Alaska Oceanで漁獲した魚は冷凍保存される前に追跡可能な番号が記載されます。この番号は先に紹介した監察者が収集した情報とリンクしており、もし商品に問題があった場合トラッキングが可能となります。MSC認証取得というだけでは差別化にならないアラスカならではのシステムです。


Alaska Ocean乗船レポート・パート2:アラスカの漁業はなぜサステナブルなのか?
​​​​​​​パッケージには追跡用の番号が記載されています。


科学に基づいた情報による漁獲枠の設定と資源管理を徹底するための厳しい規則を政府が設けた結果、アラスカは世界有数のサステナブル漁場として持続可能な利益が生まれています。サステナブルシーフードにおける日本と世界の差が垣間見えた今回のAlaska Oceanツアー。すべてが想定以上、驚きの連続でした。ちなみにAlaska Oceanの親会社であるGlacier Fish Companyのパートナーには、ニッスイUSAも名前を連ねており、サステナブルな漁業を支援しています。

根本的な規則を変えることは難しくとも、CoC認証の取得普及など日本のマーケットがすぐにでも取り組めることは実はたくさんありますよ!


サステナブルシーフードの最新情報満載のシアトルシーフードサミットのレポートはまだまだ続きます!

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