岡山県邑久町・カキ漁業 MSC認証取得漁業者が2倍に! 〜年次監査に向けた準備をサポートいたしました〜
一昨年、世界初の垂下式カキ漁業でMSC認証を取得した岡山県の邑久(おく)町漁業協同組合のMSC認証年次監査に向けた準備を2021年1月11日に行いました。同組合は、昨年の第2回ジャパン・サステナブルシーフード・アワードのコラボレーション部門のファイナリストにも選ばれるなど先進的な取り組みが注目されています。
MSC認証を地域の強みに
邑久町虫明の「虫明かき」は地元だけでなく他県でも人気のカキです。
養殖が始まったのは1952年。すぐ東隣の兵庫県の湾でも同じ手法でカキの養殖業が始まったため「兵庫県のカキ養殖の祖」とも言われています。養殖方法の改善に伴い、生産量は右肩上がりを続け、1970年代半ばには筏の台数が3,000台、年間生産量が約3,000トンとピークに達しました。その後も品質向上などに取り組んで来ましたが、将来を見据え「虫明かき」のさらなるブランディング向上のため、組合長や若手漁業者を中心にMSC認証の取得を2018年に決意。
邑久町漁協と同漁協のカキを加工流通販売している株式会社マルト水産がタッグを組み、弊社のコンサルティングを通じて2019年12月に認証を取得しました。
左:海の上に浮かぶカキ養殖用の棚。幅は25mほど。一本ごとにすだれのように垂下連がくくりつけてある
右:垂下連。漁期が来ると、毎日船一杯に垂下連を積み、岸沿いの小屋で殻をむく
MSC認証の年次監査では何をする?
年次監査は認証取得後に毎年1回、審査機関によって行われるもので、認証取得以降に操業や管理に変更があったかどうか、認証取得時点でまだ改善が必要とされた項目がある場合は、科学的な根拠をもとに確認します。
今回は、本審査と同様、監査に必要な情報をマルト水産が邑久町漁協から集め、取締役副社長の村上と漁業・科学部の小池がコンサルタントとして、年次監査に合格するためのアドバイスを行いました。
まず、認証基準を満たす活動が継続されているか、つまり認証取得後も持続可能な形で漁業が行われているかを確認しました。その中で、邑久町漁協には168名の漁業者が在籍しているのですが、昨年は13名だった認証取得者が、この1年間で新たに17名増えたことがわかりました。
年次監査の準備の様子
マーケットも拡大、小売店にサステナブル・シーフードのPRを期待
マーケット側でも進展がありました。
(株)マルト水産の花田恭孝 取締役副社長は「この1年間、MSC認証のカキの販路拡大に注力し、関東など5、6か所のスーパーからご要望をいただきました。そのうち2か所は岡山県内のスーパーで、邑久町漁協からご紹介いただきました。今後はMSC認証の認知度が高い海外向けの販売を強化していきたいです。特に国内でカキのMSC認証を取得しているのは邑久町漁協だけなので日本産のカキとして売り込むチャンスだと思っています」と話されました。
MSC認証を取得したカキの販路を拡大していくためには消費者やマーケットの理解が不可欠です。花田氏は消費者に対し「MSC認証水産物の背景には生物多様性への配慮があり、絶滅危惧種のデータを記録したり、底生生物のモニタリングを行ったり、漁師さんが普段の業務以外で苦労があることを知ってもらいたいです。我々も海洋環境への影響が少ない、安心できるものを届けたいという漁師さんの思いをもっと消費者に伝えたい」と話し、国内のマーケット(小売店)には「MSC認証やASC認証について消費者にもっとわかりやすく説明をしてほしい」と求めました。
今回の監査結果は3月に出される予定です。
これからも邑久町漁協が認証を維持できるように、漁協やマルト水産と並走してサステナブルな漁業をサポートしていきます。
邑久町のMSC認証かカキは瀬戸内市のふるさと納税でも購入することでができます。
例:ふるさとチョイス
https://www.furusato-tax.jp/product/detail/33212/4928518
その他のふるさと納税ポータルサイト:
http://www.city.setouchi.lg.jp/kurashi/shisei/furusatonozei/1446120758026.html
また、こちらのMSC認証のカキのお取引に関心のある方、内容について詳しく知りたい方はぜひ弊社までお問い合わせください。
左:スーパーで販売されているMSC認証かき
右:MSC認証の生食用かき