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最新レポート「オリヴィエ・ローランジェ国際料理コンクール」〜今若手シェフたちが挑戦する、料理を通じたマーケット変革とは〜

近年世界人口の増加に伴い、消費量が増え続ける魚介類。その持続可能性は世界的にも極めて重要な課題です。しかしながら、日本における消費者のサステナビリティへの意識は海外と比べると高いとは言えません。今回、2023年10月7日、8日の2日間にわたって北海道室蘭にて開催された第2回「オリヴィエ・ローランジェ国際料理コンクール」は、持続可能な漁業・養殖業に取り組む生産者と消費者の架け橋となる、次世代の料理人の育成を目的に開催されました。私、シーフードレガシー企画営業部の孫が、本コンクールの水産食材のサステナビリティ担当の審査員として参加しましたので、その内容をレポートいたします。




授賞式の様子


「オリヴィエ・ローランジェ国際料理コンクール」は、全国の調理学校の学生が対象で、書類選考を経て最終選考会で優勝者が決まります。今年は8校から14名の学生から応募があり、最終選考会には7校10名が選考に残りました。最終選考会では、ファイナリストがその場でレストラン向けと家庭料理の2種類の料理を作り、おいしさ、見た目の美しさ、経済性、サステナビリティを競います。


学生たちの食材のサステナビリティへの思い

学生たちは、出身地の魚、「未利用魚」と呼ばれる市場に多く出回っていない魚、MSC、ASCなどの認証を受けた魚などを作品に使用していました。中には直接産地に訪問し、漁法や資源について調査した学生もいました。プロでもそこまで使用する食材のサステナビリティにこだわる料理人はそう多くはないのではないでしょうか? このように熱心に取り組む学生が多くいることはとても大きな驚きでした。

今回1位に輝いたのは、大阪の調理師学校に在籍するペーターライト・ニコラスさんでした。彼の料理は、味と見た目共に素晴らしかったのはもちろん、食材の産地に直接訪問し、生産者の方々と交流し、加工メーカーにも足を運びました。さらに、認証を取得していない食材についても、資源状況や漁師による自主規制などを独自に調査しました。このような徹底ぶりは他の学生に比べて突出しており、企業でもここまで実現できている例は多くないと思います。
 


優勝したニコラスさん。審査会では食材のサステナビリティを説明する時間も設けられた。


シェフが果たす役割

サステナブル・シーフードが重要なのは環境、生態系はもちろん、地域コミュニティに対する責任を果たしているためです。持続可能な漁業・養殖業は、海洋生態系を保護し、未来の世代に美味しく豊かなシーフードを残すために必要です。

学生たちは、これまでにない独自の調理法を編み出すなど、その豊かなアイディアと創造性は審査員として参加していた一流シェフも感心するほどでした(私は料理人ではないので具体的な調理法については割愛します)。このような新たなアイデアは、生産者と消費者との対話を促進し、私たちがどのような食材を選びし、どのように食べるべきかという新しい視点を提供してくれます。



ニコラスさんの料理。左がレストラン向け、右が家庭向け。瀬戸内海の天然真鯛とMSC認証を取得した岡山の牡蠣を使っている。


そして、私たちにサステナビリティについて考え直す機会も提供してくれます。日本の一般消費者は水産資源の状況についてそれほど関心がないと言われていますが、その原因は知る機会が少ないためだとされています。シェフや料理人は、消費者に直接情報を伝えられる、重要な役割を担っていることをこのコンテストを通じて深く認識することができました。

将来的には、コンクールに参加した学生たちがプロの料理人として活躍し、サステナブルな料理を提供して啓発する、重要な役割を果たすことでしょう。私たちは彼らの情熱をサポートし、サステナビリティを実現するための未来への一歩として、彼らの取り組みを称賛し、応援し続けるべきだと思います。一緒に、よりサステナブルな未来への道を歩みましょう。

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