10年後のマーケットを描く!コンサベーション・アライアンス年次ミーティングレポート

10年後のマーケットを描く!コンサベーション・アライアンス年次ミーティングレポート

シンポジウムの総括業務を終え、通常業務に戻りつつあった12月初旬。シーフードレガシースタッフ数名はアメリカ、マイアミへ!贅沢な社員旅行(だったらいいのに!)ではなく、持続可能な水産物に関わる組織の集まりである、コンサベーション・アライアンス・フォー・シーフード・ソリューション(Conservation Alliance for Seafood Solution | CASS)の年次ミーティングに参加するためです。

北米に拠点を置く団体のみで形成されていたアライアンスの「サステナブルシーフードを世界的なムーブメントに成長させる」という目標のもと、シーフードレガシーはアジア初となるメンバーとして2017年初旬にアライアンスに加盟する運びとなりました。20年の歴史を持つアライアンスのネットワークは北米水産市場の80%に及ぶと言われておりNGOと企業の密接した連携により北米の水産マーケットを牽引してきました。加盟後初となる年次ミーティングでは北米のサステナブルシーフードマーケットの中心プレイヤー達が目標を共有するメンバー達と5年、10年後の市場を描く、とてもインスピレーショナルなミーティングとなりました。

今回はこのアライアンスの年次ミーティングより、最新の情報をレポートいたします!


10年後のマーケットを描く!コンサベーション・アライアンス年次ミーティングレポート


ミーティングのキックオフはアメリカ沿岸警備隊の海洋資源保全施行部門にて長官を務めるキャプテン・ジェイ・カプトによるキーノートスピーチ。キャプテン・カプトは海洋での漁業者の安全を守り、違法操業の取り締まりにおいて長年の経験を持ち、今年5月に日本も加入を表明した違法漁業防止寄港国措置協定の施行責任者でもあります。ベーリング海峡での取り締まりの事例や旗国や必要書類を偽装した上に摘発されることを防ぐために船上に立てこもったアジア船舶の事例など、臨場感あふれる現場の様子をお話しいただきました。陸上のステークホルダーと活動する私たちにとって、海洋で取り締まりを行う沿岸警備隊の取り組みは新鮮であり、また協働していく重要性を確認。

翌日の全体ミーティングでは、より効果的にターゲットオーディエンスにアプローチする手法について話し合われました。その中で取り上げられたのが2010年に起こったメキシコ湾原油流出事故。この事故により、北米の水産業界は大打撃を受けました。NGOを中心とした団体は消費者の水産物に対する信頼回復のためにリサーチやキャンペーンを展開。その中で最も有効的だったのが、漁師自身がメッセンジャーになることでした。影響を受けたメキシコ湾の漁師達が集まり、大々的な調査の実施や水産物の安全性を直接自治体や政府、マーケットに訴えることで信憑性のあるメッセージがダイレクトに伝わり、どんなキャンペーンよりも効果があったそうです。この活動の背後には多くのNGOによるリサーチや戦略策定のサポートがあったものの、漁業者自身が表に立ちメッセージを伝え、NGOは黒子に徹したことがキャンペーン成功の鍵だったそうです。現在この漁師の団体はGulf Wildとして活動を続けており、メキシコ湾の持続可能でトレーサブルな水産物としてブランド化されています。

全体ミーティングの後は分科会となり、アライアンスのプロジェクトについてのワークショップやメンバー組織からの活動報告が行われました。ここではすでに走り出しているプロジェクト数例をご紹介。


Oceans and Seafood Markets Initiatives (OSMI)

サプライチェーンを通してのトレーサビリティの確立を目的に米NGOのFishWise、Future of Fish、World Wildlife Fund、そしてGlobal Food Traceability Centerが立ち上げたプラットフォーム。企業のトレーサビリティ強化を手助けするためのツールの開発や、サプラーチェーンのマッピング、企業のトレーサビリティの内部評価、ステークホルダーによるパイロットプロジェクト、そしてKDEと呼ばれるデータ要素の統一化などのプロジェクトを進行中。


FisheryProgress.org

急速な広がりを見せるFIP(漁業改善計画)を一括管理するサイト。アライアンスの定義するFIPに則り、各プロジェクトの進捗状況が確認でき、各団体の作成したFIPに関するツールキットやFIPのローンチングからアセスメントまでのプロセスが確認できる。


Seafood Alliance for Legality and Traceability (SALT)

透明性のある水産サプライチェーンの確立を通して、持続可能な漁業の実現、そして人権問題やIUU漁業の解決を目指し、水産業界、行政、NGOが今年10月に協働で立ち上げたプラットフォーム。現在は各国のステークホルダーへのヒアリングを通して情報の蓄積を主に行っている。


International Pole & Line Foundation | IPNLF Social Sustainability Manifesto

国際一本釣り基金による、一本釣り漁業がもたらす持続可能なコミュニティーについての宣言文書。資源を守るだけでなく、地元コミュニティーに還元する包括的な持続可能性の重要性について示されている。


Sustainable Fisheries Partnership | Ocean Disclosure Project

企業の調達する水産物に関する情報をネット上で公開するプロジェクト。漁船の旗国や漁法から、認証の有無や資源状況など様々な情報が確認できる。参加する企業名をクリックするだけでその企業の調達する水産物の一覧が閲覧できる。先月、米ウォルマートが情報公開。


FishChoice | My FishChoice

持続可能な水産物のダイレクトリーを提供する米NGOのFishChoiceによるオンラインアセスメントサービス。企業やレストランの調達している水産物の情報を入力し、評価方法を選ぶ(Seafood Watchやそれに類似する資源評価プログラム)と全体のサステナブルスコアを算出することができ、またスコア改善に向けて、データベースからよりサステナブルな商品を探すことができる。


Conservation International | Committing to Socially Responsible Seafood

多くの人権問題の潜む水産業界において、労働者の基本的人権を守るためにサプライチェーン上の企業はどのような取り組みをすべきなのかをまとめたフレームワーク。企業の社会的責任に対する重要性が増す中、6月に開催されたUNのオーシャンカンファレンスではアライアンスメンバーをパートナーに持つ企業の多くがこのフレームワークに賛同しコミットメントを表明した。



サステナブルシーフード業界のキープレイヤー達が集まり、アライアンスの成果を確認しあい、次のステップに向けての意見交換が行われた内容の濃い3日間となりました。またサイドミーティングを通して、日本でのネクストステップについても話し合いが行われるなど、アライアンスメンバーとのコラボレーションについても前進があり、2018年も飛躍の年となりそうです!気がつけば3日間、会場となったホテルに缶詰状態でマイアミの太陽を浴びることはなく…と、少し残念な一行でしたが、最終日に近くのヨットハーバーを散歩中にマナティーを発見!しっかりとマイアミを満喫し、帰路につきました。

今回の経験とネットワークを日本で最大限に活用し、持続可能な漁業の実現に向けてパートナー企業の皆様、そして各組織の皆様と共に前進して行くことを胸に2017年の締めくくりを迎えたいと思います。


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