(CEOブログ)責任あるビジネスと人権フォーラム 登壇によせて
2023年6月6日から6月9日までバンコクで国連「責任あるビジネスと人権フォーラム」が開催されました。弊社代表取締役社長の花岡がプレセッション「シーフードと人権デューデリジェンス」に登壇し、アジア各国のスピーカーと共に、水産業界での人権デューデリジェンスの実践や、人権尊重のために何が必要か、などを議論しました。
登壇を終えて、花岡からみなさまへメッセージをお届けいたします。
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セッションの開会挨拶で、外国の漁業現場での8年間の奴隷労働から救助され帰国したタイ人が、不自然に折れた指を掲げ声を震わせて、虐待の末に亡くなった被害者やまだ帰れぬ人達への想いと、同じ目に遭う人達がこの先いなくなる願いの言葉を発せられました。
セッション後に彼と、彼を救助した「労働権利推進ネットワーク(LPN)」のパティマさんと、直接お話をし実情を伺いました。世界の主要水産輸入市場である日本がいま果たすべき責任・役割は、人権侵害による水産物が消費者の口に届くことがない仕組みを作り、バイイングパワーを使ってそのグローバルサプライチェーンから人権侵害を根絶すること。そしてそれを他の主要市場とそのサプライチェーンにも広げていくこと。IUU漁業対策と同様の、マーケット・トランスフォーメーションxポリシー・リフォームのアプローチです。
日本の複数の水産関連企業は既に、サプライチェーンにおける人権侵害対策を自社の調達方針に掲げ、人権デューデリに着手し始めています。今回、人権分野における国内外の多くの専門家やフロントランナーの皆様とも新たに繋がり、「水産x人権」に今後ますます国際関心が集まるのは間違いないという感触を得ました。
日本政府は、昨年「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」を策定し、この国連アジア太平洋「責任あるビジネスと人権フォーラム」のスポンサーもしています。ただ、水産サプライチェーンに対する具体的な施策はまだ聞こえてきません。