第2回「オリヴィエ・ローランジェ国際料理コンクール」開催。受賞者はTSSS2023にも招待
2022年12月、日本で初めて、北海道室蘭市にて開催された「オリヴィエ・ローランジェ国際料理コンクール」が、今年秋に舞台を同じくして国内第2回目を開催します。受賞者は、今年10月に開催される「東京サステナブルシーフード・サミット2023」へ招待されることも決定しました。
2011年にフランスで創設され、国際的レベルに発展した「オリヴィエ・ローランジェ国際料理コンクール」は、若い世代のシェフたちに、海洋水産資源の脆さを伝えつつ、乱獲されていない魚介類を選ぶことで、海洋水産資源の保護に自らが果たせる役割を体験してもらうことを目的としたコンクール。日本大会では、国内の調理学校の学生が対象となります。
2022年に開催された「オリヴィエ・ローランジェ国際料理コンクール」の受賞者たち
コンクールに名を冠したオリヴィエ・ローランジェ氏は、世界的なシェフであり、今回の共催者でもある世界のレストランやホテルが加盟する「ルレ・エ・シャトー」の幹部を長らく務めた人物。シェフやレストラン・ホテルのあるべき姿について言及するだけでなく、「ルレ・エ・シャトー ビジョン」を宣言し、大西洋クロマグロが危機に頻した際には、クロマグロの使用を禁止するなど、社会的かつ具体的な活動を推進してきました。
また、日本韓国支部では、このグローバルビジョンに加え、シーフードレガシーと協働して、日本の水産資源にまつわる問題に対しても立ち向かうための行動指針も作成しています。
2023年テーマは「持続可能な魚種」
今年のコンテストでは「持続可能な魚種」をテーマに、学生たちが料理の腕を競います。実技試験では、持続可能な海産物の中から一つの魚種を選びレストラン向け、家庭向けの2品のレシピを調理。料理の味や完成度はさることながら、使用した食材たちが持続可能かつ責任あるものであることをプレゼンテーションで証明します。
審査員は、「ミシュランガイド東京 2023」で3つ星に掲載されたフランス料理「レフェルヴェソンス」のシェフ生江史伸氏が加わり、シーフードレガシー 企画営業部の孫 凱軍も審査員の一人として参加します。
コンクールに出場するシェフたちは水産事業者と消費者との架け橋であり、海洋水産資源を保護するための大使として、重要な役割を果たすことが求められます。また、サステナブル・シーフードを選ぶことで仕入れ業者へ指針を示し、乱獲されていない魚介類を料理として提案することで、事業者と消費者双方へ影響を与える立場として、役割を果たすことが求められます。
受賞者は「東京サステナブルシーフード・サミット2023」にも招待
今回のコンテストの受賞者は、今年10月に第9回目の開催となるアジア最大のサステナブルシーフードイベント『東京サステナブルシーフード・サミット2023』(TSSS2023)にも招待され、TSSS2023内のセッションでも、当コンクールや受賞した作品についてのトークセッションが行われます。水産事業者と消費者を結ぶ重要なステークホルダーであるシェフの視点から、海洋フードシステムの持続可能性について発信していきます。
シェフが水産事業者と消費者の架け橋に
「オリヴィエ・ローランジェ国際料理コンクール」は、単に料理の技術を競うのではなく水産資源の持続可能な利用を推進することで、本質的な食のあり方を問いかけます。
「コンクール創設から12年間、国境を越えて、フランスからヨーロッパ、カナダ、中国、そして日本へ広がり、世界中のプロフェッショナルを動員して参りました。コンクールに参加した若者たちは、『海の乗組員』に加わり、エシック・オーシャンが擁護する海洋水産資源保護という大義を支援する偉大な大使となっています。海洋環境は簡単に破壊されるもので、その資源を保護することは、飲食業を担う従事者の重要な義務であり責任です。環境問題は地球の健康と人類の未来に直接関わる問題なので、皆でその解決に取り組む社会的責任があります。」と、オリヴィエ氏は語っています。
料理を通して直接消費者へ、サステナブル・シーフードの美味しさや、その価値を発信できるシェフたちの活動は、今後さらに重要となり、水産事業者との協力が求められています。今回のコンクールを通し、新たな若手シェフたちの創造性が未来の海洋環境を守る大きな一歩となることは間違いありません。
応募方法詳細は「オリヴィエ・ローランジェ国際料理コンクール」公式ページ
(7月31日まで参加登録を受付中。応募資料、内容についての詳細はconcours@ethic-ocean.org まで)
共催:エシック オーシャン、フェランディ パリ、ディナール・イヴォン・ブールジュホテル高等専門学校、ルレ・エ・シャトー
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